2012年07月02日号
たとえ役職に就いていない一社員であってもリーダーシップが求められる。企業組織に限らず組織を構成する一人ひとりには、必ずリーダーシップの発揮が求められる。
リーダーシップはさまざまに定義されるが、「リーダーとはつねに先頭に立ち、指揮・命令を行うものだ」と思ってしまうのは誤りだ。組織体から与えられた役割に対して、周囲を巻き込みながら自らの責任の範囲を全うして行くことに他ならない。
「役割」とは周囲から期待される行動様式であり、リーダーシップとは生まれながらに備わっている能力ではない。自らの積極的行動が徐々に周囲に影響を与え、周囲とともに仕事への参画意識を高めることで身につくものである。
会社組織での仕事においては、周囲との関わりの無い仕事は存在せず、常にチームプレーが要求される。「自分の守備範囲はこれだ」と限定してしまうと、周りから「参画」意識が乏しいと評価されてしまうものだ。同時に自分一人ですべての問題を解決するのではなく、周囲を巻き込んで問題を解決していくという姿勢が重要だ。
さらには、緊急時においては自ら先頭に立ち、平常時には何事も「縁の下を支える」という気構えがなければならない。この気構えが自らのリーダーシップの形成につながってもいくものだ。
「活性化された集団は、かなり高い確率で業績に連動性がある」という仮説がある。つまり部門部署内の活性化は、単に表面的な職場のムードの問題ではない。和気あいあいとした組織が必ずしも高い業績を生む訳ではなく、活性化された集団でなければ業績は向上しないということだ。組織の活性化という側面から見たならば、次の二つの会議事例でどちらが活性化しているかは明白だ。
1.部門の責任者が提示した方針に対して、参加者が方針を巡って口角泡を飛ばす議論となり、一見すると喧嘩をしているような状況になってしまった。しかし、いつしか議論をしている当事者たちは議論を通して、相互に自らの考えを主張しあい、示された方針に修正も加えられて「共通の目標」を確認しあった。
2.部門の責任者が方針を提起し参加者の意見を促すが、参加者は黙って聞いているだけで、さしたる議論も起こらず、予定の時間が来たので責任者が示した方針がなんとなく確認された。
当然、前者の会議の方が後者と比較して参加者相互に参画意識が生まれているわけだ。それは議論を通して互いの考えを共有することができているからだ。もちろん、会議を主催する側が会議に当たって、会社の方針、部署の役割、現在の会社の状況や競合会社の実態などについて情報をオープンにし、参加者が同じ土俵に立てるようにすることが重要である。
会議に限らず自ら参画意欲を持たず「他人事」のように振舞っていては、組織全体が活性化するものではない。会社という組織では、何事も「自分に関係のしない問題は何一つない」という意識をもった、一人ひとりの貪欲な参画意識が組織全体を活性化させていくものだ。
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