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週刊Neue Fahne

2024年10月21日号

若手社員に真摯に向き合う-19-育成とは自らの行動変容

 さまざまな意味で経済・社会の成長が既成事実として受け取られていた時代には、若手・新人の育成は楽であった。何故ならば育成する側が前世代から受け継ぎ備えてきた価値観や手法を若手・新人に対し、上手に移植すればよかったからである。そして若手・新人もその中から自ら社会人ないし組織人として必要とされる価値観に沿って自らを変容して合わせることが求められたからである。
 以前の若手・新人への育成は乱暴にいえば育成する側の価値観を刷り込むことで事が済んできた。しかし、今日では世代を超えて“働くこと”全体の価値観の変容が求められている。とりわけ育成する側がこれまでの価値観や手法に対する検証が求められるだけではなく、文字通りの変容が不可避となってきている。

 今日では若手・新人の方が時代に即した価値観を備えているといっても過言ではない。こうした若手・新人に対して育成する側がこれまでの自らの価値観を変容することなく、接しているならば育成など土台無理な話である。若手・新人を育成する側に求められるのは、自分たちが育成されてきた時代に形成された価値観の今日的な是非を批判的に振り返ることである。
 決して自らの価値観という土俵に依拠して若手・新人に接したりしてはならない。まして自らの土俵に若手・新人を無理に登らせようなどと思考してはならない。同時にこの土俵上で年長者としての権威を振りかざし、上下関係を築こうなどしてはならない。こうした行為は必ず「独り相撲」の惨めな結果に終わる。

 今日の若手・新人を育成する側が自覚しなければならないことは、“自らが所有している知識などは知れている”ということだ。若手・新人の育成は基本的に日常の業務行動の中でOJTを通して行われるのがある意味で王道である。しかし、育成する側が所有していない知識や職務能力などは、OJTでは決して次の世代に伝えられないものである。OJTで伝承され相続されてき内容は、基本的には前の世代が所持しているスキルや知識に過ぎない。
 これまでの若手・新人の育成では、育成する側が所有しているスキルや知識を上手に伝達することで、業務が達成できることを前提にしてきた。残念ながら今日の若手・新人には、これからの時代変化に即応していくために必要とされるスキルや知識は、従来のOJTで伝達することはできない。従って、育成する側が無自覚に過去に固執して、自らが学ばない不勉強状態であるならば、決して次の世代を育てることなどできない。

 若手・新人を育成する側が「忙しくて新たな学びの時間がない」などと繰り言をいっても始まらない。このようなことを言う者に限って、若手・新人に対して自らの過去の実績を誇りがちになる。しかし、この種の行為は若手・新人にとっては正に“武勇伝”としか響かない。同時にこの種の繰り言は、自らに“終焉”を宣告しているようなものである。
 当然のことながらこれまで形成してきた価値観をすべて捨て去る必要はないし、新しい考え方が全て正しいわけではない。この意味で温故知新でもある。育成する側に求められるのは、常にこれまでのやり方を繰り返し検証し続けるということだ。若手・新人の育成に当たっては、決して“これまで”に固執することなく、時代変化に自らの行動を変容させることを第一義にしなければならない。

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