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週刊Neue Fahne

2024年09月02日号

若手社員に真摯に向き合う-16-若手・新人に仕事を言語化して示す

そろそろ2026年の新卒採用も始まっているが、職場では相変わらず若手・新人社員の傾向、特長、特性がさまざまに語られている。しかし、語られ方は相も変わらず“新人のトンでも行動”について揶揄する内容のステレオタイプである。ところで今年も様々な求職媒体や研修運営会社などから「2024年新入社員の特長」などが発表されている。
  これら各種調査で共通して見えてくる若手や新入社員像は、職場における人間関係をより重要視して、ワークライフバランスを実現した上で仕事よりプライベートを重視したいと思っている。一方で自らが「成長できること」「スキルを身につけること」に期待をしつつも、自らのストレス耐性に対して自信がないという傾向にある。旧世代からするならば「手間がかかる」という一言に尽きるのではないか。

  今日の新入社員も含む若手社員は、これまでの学校教育では「優しく育てる」という基本方針の下で教育を受けてきた。一方で企業組織における仕事は学校の学びと比較して決して「やさしく丁寧」ではない。まして企業組織は利益を追求するため、必然的に常に競争の渦中にある。こうした競争社会は今日の若手・新人社員にとって、時に理不尽に映るはずである。この理不尽という現実に直面して多くの若手・新入は、リアリティショックを受けて当然である。
  現場マネジメント層は若手・新人社員が抱くリアリティショックの感覚に対し、無理をして偽善的な繕いなどを行う必要などない。むしろ企業組織での働きを通してリアリティショックに備えさせながら、社会に適応させていくというスタンスを堅持する必要がある。確かに時代変化に規定されて若手・新人社員の意識や行動は明らかに変化してきている。この変化について現場マネジメント層は、解釈することだけで済ませてはならない。肝心なのは若手・新人社員の意識・行動変化に対応して、具体的な指導・育成手法(「学ばせ方」)について変化・工夫を凝らすことである。

  多くの企業の職場マネジメント層には、精神論で成長を促す指導を受けてきた昭和世代が依然として存在している。対して今日の若手・新人社員は学校教育で潜在能力を引き出すために何をするべきかを考えさせる指導を受けきている。このため、理由も説明せずに上から命令を出すだけでは、若手・新人社員は動かないのではなく、動くことができない。そして現象的にはこれは「指示待ち」となる。現場マネジメントは自分とは生まれ育った環境や教育が大きく異なっている若手・新人社員との間で、行動面での大きなギャップや意識差が存在している現実を直視する必要がある。
  今日、企業内で相応のポジションに就いている者は概ね昭和末期から平成初期に、バブル経済とバブル崩壊を体感してきたはずである。バブル崩壊時には大企業でさえ倒産をする事態を目の当たりにした。就職の段階ではいわゆる「氷河期」も体験している。また就職をした企業組織で定年まで安定した生活を描いていたものの、常に雇用や生活への不安を感じている。

  今日の職場マネジメント層は何よりも自分の直属上司から、真面な指導・育成を受けた経験も乏しい。そして、“上司の背中を見て仕事を覚えてきたに過ぎない”といっても過言ではない。一方で今日の若手・新人社員は受けてきた学校教育の影響もあるが、とにもかくにも上司・先輩から丁寧な仕事の手ほどきを求めてやまない。理想とする上司像に至っては「わかりやすい言葉で説明してくれる」「丁寧に教えてくれる」が上位に位置している。
  仕事について言語化されずに単に“上司の背中を見て仕事を覚えてきた”世代にとって「分かりやすい言葉で丁寧に教える」などはそもそも無理な相談であるようにも思われる。しかし、職場マネジメント層は自分自身が体験や体感したことがない「わかりやすく丁寧な説明」に二の足を踏んでいるようでは若手・新人と伍していくことなどできない。「わかりやすく丁寧な説明」とは、自分が実践している職務内容の解像度を上げることにもつながっている。

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