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週刊Neue Fahne

2023年02月06日号

若手・新人に対するマネジメント再考 -3- 権限(パワー)行使の錯覚を戒める

 会社組織は決して仲良しクラブではない。必ず上下関係が存在するものである。ただし、この関係は年齢や社歴によって自然に形成されるものではない。あくまでも上下関係は組織体を円滑に運営していくために計画的に形成される機能である。つまり、企業組織には「上位の人」(上司)と「下位の人」(部下)の関係、あるいは「指揮をする側」(指導)と「指揮を受ける側」(非指導)の関係性が必要ということだ。
  この関係性において会社の組織内の上司は部下を動かす権限を持っている。言い換えれば、上司は会社から部下を動かす権限が与えられている。ただし、この権限は上司個人に属する権力などではない。あくまでも部下を指導する能力を有すると判断したものに会社組織が職務として与える役割である。

 上司は組織から与えられている役割としての権限を正しく意識する必要がある。別の言い方をするならば上司は部下よりも職務遂行能力と資質が優れていて当然でなければならない。つまり、上司は部下の能力不足を嘆くなどというのは本末転倒ということでもある。部下よりも優れているがゆえに上司を名乗れるということだ。仮に上司が部下の未熟や能力不足を認識したならば、会社組織が求めるレベルまで高めていくのが上司に課せられている任務でもある。
  この任務を遂行するために会社から与えられているのが、部下に指示・命令をする権限(パワー)がある。しかし、この権限には魔物が潜んでいる。仮に上司が思いつきで部下に指示を出しても、部下はその通りに動いてしまうものである。何故ならば部下は上司の指揮命令に従わなければならないからである。このため権限を与えられた上司には自らを律するという責任が発生する。

  上司に対して会社から付与されている権限(パワー)は個人的なパワーに依拠しているものではない。上司は自らの属人的パワーで部下を動かしているなどと錯覚を起こしてはならない。上司にこの錯覚が積み重なると、当然のことながら部下はやる気をなくすことになる。部下は実によく上司の行動と上司の能力を見極めるものである。そして、役割機能を果たしていない上司に対しては面従腹背の態度で臨むものである。
  自らのパワーによって部下が動いているなどと錯覚する上司は、部下による面従腹背を決して理解することはできない。この種の上司は次第に「裸の王様」状態に陥り、ますます部下からの信頼をなくしていくことになる。上司に会社組織が付与する権限(パワー)の行使は、あくまでも会社組織から部下を伸ばし、会社業績の向上に寄与するものでなければならない。

 上司には会社組織の基底的な資本を構成する部下を伸ばしていく使命が課せられている。この基本スタンスを片時も忘れてはならない。これは同時に上司が生半可な態度で部下と接してはならないということである。上司は自らの業務行動において常に自らの行動に対して肯定的でなければならないということでもある。
  単に年次的に部下よりも上位に立っているなどと意識しているならば、会社から付与された権限(パワー)を正しく発揮することなどできるはずもない。結果的に部下を正しく領導することなどできない。上司が部下に対して行使する権限(パワー)はあくまで会社の利益のためだけに使うことが許されている。自分の力を誇示するためのものではなく、ましてや私利私欲のためのものではない。

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