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週刊Neue Fahne

2023年02月13日号

若手・新人に対するマネジメント再考 -4- 部下に「使われる」度量を持つ

 上司には会社からあずかった部下を伸ばす責任がある。それが上司の基本スタンスである。そして上司は自分の指導方針や言動に対して自信を持たなければならない。仮に上司が部下を動かすパワーのあるメッセージを出せなければ、部下を導くことができないということだ。これをパワーハラスメントと混同してはならない。
  上司が自らに自信を持つとは、部下を常に「未熟者であり自分のいうことを聞かせる」対象として捉えることではない。このような姿勢は単に自らの経験則で部下に接することとなり、当然のことながら部下の反発を招くことになる。

  上司が部下との健全な関係性を作るためには、自分も部下も肯定することが前提となる。対人関係においては常に自他を肯定する姿勢を堅持するということだ。例え上司から見て部下の共感能力が低く、反応が薄いと感じたとしても一人の人間として部下を肯定することからスタートしなければならない。
  その上で、一人ひとりの部下に自らが目標設定を行うように促していく必要がある。目標設定は一律である必要はなく、一人ひとりの力量に見合ったものとして設定させる必要がある。そして、上司は部下が設定した目標に対してその進捗状況を確認しつつ、適時適切なアドバイスとフィードバックを展開していくことで部下との信頼関係を構築していかなければならない。

 アドバイスとフィードバックの過程で上司は、部下に“どのようにすれば「上司の力」を上手に利用できるのか”という感覚を会得させることを意識していなければならない。これは、「上手に上司を使う」というという発想を持たせることである。部下にとって上司を使うとは、“上司を通じて会社組織を動かせる”ということを実感することにつながる。ひいては会社業務への自らの主体的な関わり方の意味理解にもつながることになる。ただし、上司は部下を使う立場にあり指導と非指導の関係である。これはあくまでも組織体における基本である。
  同時に部下に上手に「使われる」ことも、上司の大切な役割のひとつである。上司が「部下に使われる」は、とどのつまり上司としての自分の力を、部下に利用させてあげるということである。会社という組織の仕組みの中では、部下がどんなに意欲を持っていても権限という壁がある。このような時に部下は往々にして理不尽さを感じるものである。上司が自分の権限を部下に使わせて仕事をさせることが、部下に使われるということである。

 上手に部下に使われるとは、「上司のパワーの使い方」を教えることであり、「会社の仕組みを教えること」でもある。部下が「どのようにすれば上司は動くものなのか。動いてくれるのか」を実体験せるうえで必要なことは、上司が常に部下からの提案に対して関心を持ち、採用するか否かの明確な判断を示すことである。同時に判断についての明確な理由説明を行うということである。
  当然のことながら部下の失敗は上司の責任に帰する。従って、部下に対しては上司を使うことは、それだけリスクを負うことでもあることも自覚させなければならない。部下には失敗のリスクを十分に考えさせ、検討させたうえでチャンスを与えることが、上司の大きな役割の一つである。仕事でチャレンジしようとする部下には、最大限の支援をすることだ。こうして、部下は上司を使うことを通して組織を動かすことを学んでいける。この機会提供は上司としての度量でもある。

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