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週刊Neue Fahne

2022年05月09日号

時代認識と自己マネジメント-3- 変化に駆逐されない働きの姿勢

世の中の変化スピードは非常に速い。そもそもグローバルといわれた時代さえも今日では混沌とし始めている。ロシアの「旧ソ連邦への先祖返り」的暴挙により、経済制裁がらみで世界の市場は明らかに収縮の方向さえ示し始めているともいえる。こうした時代に企業を取り巻く経営・市場環境は、ますます不安定になるという時代認識を持たなければならないだろう。
  何事においても「今まで通りの予定調和」が通用しない時代では、日本がいつまでも「G7」(先進7か国)の一員として世界の経済・金融情勢や国際通貨制度、金融規制をリードする位置に留まっていることができるかさえ怪しくなっている。目を日本の個別企業での働きに転じれば、中高年人材がノスタルジックにかつての「成長神話」にしがみつき、何時までも「最近の若手社員は…」等と管を巻いているならば、若手人材の阻害物になることは必然でもある。大きく社会の枠組みが変動していく只中では、若手も中高年も一人ひとりの個人としての働きの姿勢が問われてくる。

  個々人の働きの姿勢とは社会・経済が変化する過程において、単に企業組織の一員であることに甘んじることなく、自らが主人公として自分や属している企業組織の行末に対して責任を持つということである。ただし、主人公であるためには、企業の目的・目標に沿って自主的に判断し、行動を起こして社会全体にも貢献していく気概が求められる。
  当然のことながら変化スピードが速く過去のやり方、過去の成功体験、過去の常識が通用しない時代である。経営環境やビジネスの仕組みも大きな変化し、ビジネスモデルも変化している。これまで常識的と思っていた発想では通用しないビジネスモデルが珍しくなくなった。

  時代変化のスピードアップは、日々の経営環境の激変としてさまざまな現象にあらわれる。一般の消費者も一旦こうした新たなビジネスモデルが生まれると、こうしたモデルを常識として受け入れていくものだ。もはや段階を経て順序立った経済の発展や成長がなされるわけでもない。新興国などでは特定の技術やインフラが先進国よりも速いスピードで整備、浸透する“リープフロッグ現象”が顕著になっている。この現象はいわゆる先進国内でも起こることになるだろう。
  何故ならば新しいサービスが出ても既存サービスとの摩擦が起こり、法律改正等に時間がかかり、新たなサービスの浸透が遅々として進まないなどということが許されなくなるからだ。ビジネスや産業構造それ自体の変革を促す本来的な意味でのDXの時代は、これまでの働き方を見直し、自分自身の立ち位置をしっかりと捉え返していく絶好の機会でもある。同時に個々人が自らの働きの姿勢が問われる試金石ともなる。

  これまでの「当たり前」という発想の根底には、「経済は常に成長し続ける」という考え方があった。これは過去の成功体験や従来手法がいつまでも通用するという思い込みの産物でもある。いまだに多くの企業で年齢に関わりなく自分の経験則だけで仕事を行なっている者がいる。極端にいえば、こうした者に限って仕事を内容や質ではなく、労働時間の長短で考えたりもする。また、従来制度が「自分が退職するまでは何とか維持されるのではないか」と淡い期待を持つ。経営環境の変化は、こうした発想での働き方をしている者を間違いなく置いてきぼりにする。
  聞き飽きた言葉だがダーウィンは『種の起源』で「強者が生き残ったのではなく、環境に適合したものだけが生き残った」といっている。社会・経済の変化は企業規模の大小に関係なく等しく影響をおよぼすものだ。“自分の属している企業は堅調に推移しているので大丈夫だ”などと漫然とこれまで通りの働き方を踏襲すること自体が陳腐化の始まりである。次に来る変化を「予見」することは非常に難しい。しかし、今起こっている変化を機敏につかみ柔軟な思考に基づいて、一人ひとりの個人としての働きの姿勢を研ぎ澄ましていくことは可能である。

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