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週刊Neue Fahne

2020年08月17日号

ジョブ型雇用を踏まえた働き方 -1-サラリーマン意識からの訣別が不可避

今では「メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用への移行」という表現や論議が一般化してきた。ポスト・コロナ社会を見据えて「ジョブ型雇用」への移行を大々的に打ち出している大企業もあらわれている。極めて単純化すれば「人に仕事を紐づける=メンバーシップ型」「仕事に人を紐づける=ジョブ型」と表現もされる。しかし、仕事に対する姿勢においては、この区別は「鶏が先か、卵が先か」という因果性のジレンマに終始することになる。
  メンバーシップ型であろうがジョブ型であろうが、仕事をすることに変わりはない。むしろ人生においては仕事に対する考え方が一人ひとりに意識の上で大きな差としてあらわれる。この仕事に対する考えた方は大きく二つに分類される。一つはビジネス意識(マインド)であり、もう一つはサラリーマン意識(根性)だ。

 ビジネス意識(マインド)を持った者は、常にその時々の「結果」を重視するというものだ。他方でサラリーマン意識(根性)を持った者は、常に結果よりも「過程」を重視してしまう傾向がある。また、「報酬」に対する考え方についても、ビジネス意識とサラリーマン意識では大きな違いがあらわれる。ビジネス意識を持った者は、報酬を常に「成果の対価」と考える。サラリーマン意識の者にとって報酬は単純に「労働時間の対価」という具合だ。
こうした仕事に対する意識の違いが、一つの企業組織の中で凝縮してあらわれるのが、企業のオーナーと従業員との関係だ。挙手空拳で事業を始め、さまざまなリスクを背負って事業展開を行なうオーナー経営者は、まさにビジネス意識の塊である。一方で従業員の側は、日常業務を繰り返しているだけでは、知らず知らずにサラリーマン意識に毒されてしまうものだ。一言でいえば経営に対する「意識の溝」である。

  この「意識の溝」は、時間の経過とともに深くなり、いつしか簡単に埋めることはできなくなってしまう危険性がある。サラリーマン意識とは何か。それは「受け身」の仕事スタイルに終始し、積極的にリスクを取らない姿勢のままで、行動が遅い(鈍い)ということだ。一昔前は年功序列で一定の役職に就いているが、自ら主体的に動かない人びとを「大企業病に犯されている」と揶揄する傾向があった。
  しかし、こうしたサラリーマン意識は企業の規模を問わず、企業組織に蔓延しているといっても過言ではない。この意味からするならば今日の日本企業においては「大企業病」が存在しているのではなく、「サラリーマン意識に留まっている者」と「経営者意識を持っている者」という就労意識における差異が存在しているに過ぎない。

  就労意識の差異から見たならば、企業内の従業員の間にある職階上の意識の区別は、瑣末なものに過ぎないことになる。この意識の差異は結果的に自分自身の行動に責任を持つのか、持たないのかということに直結する。メンバーシップ型とジョブ型の差異や雇用形態による差異に関わらず、仕事をするにあたり課題となるのはサラリーマン意識に甘んじない姿勢を貫くことが肝となる。
  自らを代替えの効かない経営資源として位置づけ、「所属する企業組織には自分が必要である」という主体的な意識を持ち続けることが必要ということだ。新入社員であろうと役職者であろうと、自分自身が企業組織を育てていこうという思い入れがなければ、仕事は常に「やらされ事」に終始し、決して「自分事」にはならない。

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