2019年01月28日号
ビジネスにおいては、どのような仕事を行う場合にも必ず締切り(納期)が存在している。それは仕事での成果物が利害関係者に影響を及ぼすからだ。極端にいえば締切りが存在しない仕事は、自分自身が趣味で行う類の範疇である。また、ビジネスにおいては、単に自分が行う一つの仕事だけではなく、複数の仕事が同時並行で進行している。一人で幾つもの仕事を行う場合もある。このため、自分が担当する仕事の遅れは、次の行程の遅れを誘発し、結果的にすべての仕事のスケジュールに遅れを生じさせることになる。
企業組織でおいては、たとえ個人が行う一つ一つの仕事であっても全体と関連付けられている。自分の行っている仕事が終了し次に引き継がれるため、締切りを明確に設定しなければ、業務の全体に影響が出る。仮に締切りが不明確な仕事を指示された場合であっても、自らが締切りを設定して取り組む必要がある。
締切りという緊張感がある事で、効率の良い業務展開や無駄を省こうという創意工夫の意欲も生まれてくる。一方で仕事を完遂するためには、応分の技能と能力が備わっていければならない。従って、現状での自らの技能や能力に沿って、自分に与えられた仕事を「期限までにできるのか、できないのか」を判断することも重要なことである。単に精神論で「何とか頑張ればできる」などと安易に引き受けて、結果的に全体に迷惑をかけては意味がない。自分自身の現時点での力量で「これは、期限までには完了することはできない」と判断することは、決して恥ずかしいことではない。
期限までにできないと自分で判断できるならば、他者への協力要請もできるということだ。指示された仕事の完了時期を自ら想定できなければ、次の仕事をいつから始められるかもわからないことになる。自らの現状の力量と締切りの関係を精緻せずに仕事を繰り返しているならば、「いまの仕事を急ぐ理由がない」ということになり、ダラダラとした仕事を行うことになる。
企業組織において、期限が設定されない仕事は、そもそも「やる必要のない仕事」ということになる。仕事を指示される場合には「やってみなければ、できるかどうかわからない」などという気持ちで安易に引き受けてはならない。こうした姿勢は、決して積極性ではなく「身の程知らず」の謗りを受けて、信頼をなくすことになる。そこで仕事を指示されたならば、先ず「仕事の意味と目的」を理解すように努める必要がある。
「仕事の意味と目的」を理解することで、おのずと締切りを推し測ることができる。仕事を指示された段階で、自分自身でいつまでに仕事を終わらせることができるかを判断ができないのであれば、仕事の指示者に対して正直にその状況を伝えなければならない。
仕事を指示されて終了する見通しもないままで安易に「わかりました」と引き受けてしまっては、仕事を指示した側も支援のタイミングを推し測ることができなくなる。本来、企業組織での仕事は、必ずそれを行う意味が存在しているのであり、無意味な仕事など存在していない。そして、必要な仕事であるからこそ、締切り(納期)が付きまとうものだ。しかも締切りが過ぎてしまえば、どのように素晴らしい仕事内容でも意味をなさなくなる。仕事の意味や目的を理解せず、締切りを意識しない仕事スタイルは、大きな損失として跳ね返ってくる。
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