2019年01月21日号
企業組織では何よりもスピードが求められる。企業組織がスピードを重視し、従業員にもスピード感を求めるのは、業績と直結しているからだ。スピードが遅いということは、経営を取り巻く外部環境変化への対処が遅れることを意味し、結果的に瞬く間に淘汰されることになるからだ。つまり、スピードは企業組織の雌雄を決することになる。
スピードを重視するということは単に「流行に乗り遅れない」であるとか、「最先端の技術を取り入れる」ということではない。もちろん、これらも大切であるが組織を構成する一人ひとりの仕事の進め方や取り組み姿勢においてのスピードが重視される。とりわけ新人はこのスピード感を養う必要がある。直截にいえば日常業務において「仕事を早くやること。仮にその結果失敗してもすぐにリカバリーすればいい…」という発想が必要だ。
企業が新人に求めるスピード感とは次の2点に収斂されるといっても過言ではないだろう。
その1:手をつける、やり始めるタイミングを早くする
つまり、いわれたら、気づいたら、思い立ったら“すぐに”やるということである。
その2:仕事や作業はもとより、ものごとを素早く進める
これは、どのような仕事も時間をかけずにやる、所要時間を短くするということである。
現実問題としてこの2点のどちらが欠けている従業員を多数抱えている企業は、組織体として機能不全に陥ることになる。従って、組織を構成する一人ひとりの構成員の動きの素早さがカギということになる。変化スピード早いビジネスにおいては、必ずしも“待てば海路の日和あり”ではなく「時間が味方してくれる」とはならない。
自分が実行すべき事柄に対して、グズグズしてなかなか始めない、始めてもダラダラと進捗が不明な従業員を抱えている企業は、例え外部環境がよくとも長期的に業績を維持していくことができなくなる。しかし、残念ながら過去の経験や実績に胡坐をかいている従業員は、自らの仕事のスピードを一向に気にしないという特徴がある。そして、“目先のラク”を選ぶようになってしまう。終には「やれない理由」を必死になって探し始めたりもすることになる。
「やれない理由」を探すとは、結局のところ自分が「やらない理由」を探しているに過ぎない。新たに企業人としてのスタートを切る新人は、この種の「やらない理由」探しに汲々となっている姿勢を絶対に真似してはならない。常に自らの仕事のやり方や進め方に懐疑的となり、物事に対する危機意識を磨かなければならない。
新人は“目先のラクを追求したい”であるとか“物事を先送りしたい”という誘惑を断ち切る勇気を持たなければならない。残念なことに先送りの理由は次から次と思いつくものだ。しかし、この誘惑に打ち勝っていかなければ、最初の一歩を踏み出すことなく何事においても手がつけられないまま、時間だけが無為に過ぎていくことになる。
新人は与えられた課題に対しても「とりあえず後で」などと曖昧な先送りを決して行ってはならない。先送りとは、難問や面倒なことから逃げるための言い訳の積み重ねでもある。何よりも怖いのは先送りがクセとなり、自らの業務行動を規定してしまうことだ。こうした先送り思考は自分自身の成長の足枷となる。
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