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週刊Neue Fahne

2018年10月09日号

管理職は部下との間で「経営理念」の共有を惜しんではならない

経営感覚を保持した社員の存在は企業の組織力を高める。しかし、残念ながら一般的に社員の多くがいわゆる「サラリーマン意識」に浸かっているのが現実だ。多くの社員は“自分は言われたことをこなせばよい。企業の方向性を決め、成果に向けて変革を展開するのは経営陣の役割だ”という意識状況に留まっている。
  こうした意識状態に陥るのは、経営陣と社員との間に大きな意識のズレや溝が存在しているからだ。このズレや溝は、たとえば企業の使命や役割という経営理念に関する意識に始まり、給料に関する意識、コストや生産性に関する意識などにもあられる。一言でいえば企業活動と自らの日常業務に対する認識の乖離でもある。

  経営陣がこうした社員の「サラリーマン意識」を放置している限り、企業は強くなることはできない。企業業績が順風の時であればまだしも、一旦企業の存亡を左右するような経営環境に遭遇したならばひとたまりもない。社員が「サラリーマン意識」に浸っているならば、経営陣の抱く危機感も共有することさえできず、動きも鈍くなるからだ。まして、状況を打破していくパッションも生まれてこない。
  企業における管理職の大きな役割の一つは、自らが経営感覚を研くだけではなく、部下に対しても経営感覚をもった業務展開を行わせることである。多少大仰ないい方になるが、放置すれば必然的に「サラリーマン意識」に陥る部下の意識を常時変革させて、経営感覚を目覚めさせ、現状に対する正しい危機感を抱かせることである。現状を打破しようとするエネルギーは、現状を維持しようと思うバイアスを払拭し「健全な危機感」につながるものである。

  企業とは本来、共通する利益の達成に向けた一人ひとりの独立した個人が集う利益共同体組織である。従って、一人ひとりの集合を強固な組織体に向かわせるためには、組織体を担う一人ひとりが、同じ方向性を共有しなければならない。つまり、自らが参画する組織体の価値観を尊重するということである。この価値観が企業の「経営理念」であり、組織としての「よりどころ」や存在理由(すなわち在籍している理由)ということになる。
「経営理念」とは社員の一人ひとりが自ら参画する企業組織において、それぞれのレベルで下す判断の基準でもある。つまり、「経営理念」という行動指針を尊重し共有がなされない組織は、個々の判断に統一性を欠いた烏合の衆となり存立基盤が揺らぐことになる。

  多くの企業には、明文化されているとは限らないが、創業の精神でもある「経営理念」ないし「企業理念」と呼ばれるものが存在している。組織の一員である社員ならば、それを熟知していて当然である。ところが“何のためにわが社の経営理念が存在しているのか”と聞かれると、多くの社員はみなバラバラに捉えている場合がある。「経営理念」は単に言葉を“知っていればいい”というものではない。まして、建前でもなければ、お題目でもないし、暗唱できることが重要なことでもない。あくまでも組織が社会に存在していくための規範でもある。
  企業が存続していくための原点として、「経営理念」を日々の業務のよりどころにしなければならず、“判断に迷ったならば経営理念に立ち返る”という位置付ける姿勢を貫かなければならない。とりわけ、管理職は、自社の「経営理念」が“企業活動を規定し社会に存在することが許される普遍的かつ高邁なる志”という位置付けの下で、「経営理念」に則して自らが率先して行動するだけではなく、部下に対して「経営理念」を共有すべく、日常的な働くかけを惜しんではならない。

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