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週刊Neue Fahne

2017年09月04日号

新任管理職の心得 -10- 部下に「経営に参画している」という意識を持たせる

 管理職にとって部下は会社から預かっている貴重な経営資源である。単に自分の仕事の補助役でもなければ、都合のよい手駒でもない。部下を育て、仕事への意欲を高め、仕事に全力を投入させることができない管理職は部下をもつ資格がない。
 管理職は部下の育成を会社と部下に対する責任であると自覚しなければならない。そしていつしか自らを超えていく部下を育成することを自らの喜びとしなければならない。このために育成に妥協することなく、忍耐強く取り組むことが管理職自身の成長に繋がる。部下育成とは管理職の成長のバロメーターでもある。

 部下に“仕事への意欲を高め、全力を投入させる”とは、“企業経営の当事者であるという自覚”を持たせるということである。「部下が育たない」という管理職の側の不満は、「仕事に対して充実感がなく、本気になれない」という部下の悩みの無理解でもある。従って、一方的に、部下だけを非難することはできない。管理職も「部下に充実感を持たせ仕事に対して本気で取り組む機会を充分に提供してない」と内省する必要がある。
 管理職であれば、会社全体の動きや将来に向けての計画について、職位に沿った情報を持っている。管理職は自らが把握している会社の経営情報を、部下に充分与えて自分で考えさせる癖をつけさせていく必要がある。情報を抱え込むことなくすべて部下に説明し、理解させていかなければならない。

 自分が掌握している情報の開示に必要性を感じていない管理職は、大きな勘違をしていることになる。管理職が情報を抱え込めば抱え込むほど、部下から「当事者意識」を削ぐことになるからだ。部下が仕事に対する取り組み姿勢は、“自分がやっている仕事が全体の中でどのように位置づけにあるのか”“この仕事にどのような意味があるのか”ということを認知しているか否かが大きく左右するものだ。
 経営情報が正しく与えていなければ、会社の帰趨の中で自らの行う業務の位置を理解することもできない。部下にしてみれば、「自分の仕事の背景がよくわからない。だから、自分がどういう貢献をしているのか、実感できない」という不安を持つことになる。

 部下は「いまの仕事が自分をどう成長させてくれるのか…」と常に考え求めるものだ。従って、管理職は部下に与えた仕事を確り会社全体の中で位置づけ、方向性を示していくことを配慮しなければならない。管理職には社会全体における会社の位置づけやビジョンに始まり、会社組織での自らの部署の位置づけ、部署の中での一人ひとりの位置づけなどについて、自らの掌握している経営情報に基づいて、部下に明確に説明する責任がある。
 管理職がこうした説明責任を果たしていかなければ部下は、企業経営に当事者意識も持てるはずがない。まして日常業務に「責任を持って取り組む」という姿勢も醸成されず「経営への参画意識」が形成されることがなく、指示待ちに終始することになる。

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