2017年08月28日号
管理職が部下に仕事を任せる場合には、「何をどこまで任せるのか」という点を明確に提示しなければならない。その上で、具体的な指示を行い適時適切な相談や連絡を実行させ、部下の仕事の進捗を把握していかなければならない。
仕事を振りっぱなしで放置し、部下のアウトプットの度合いだけを問うても部下が育つはずがない。つまり、部下に仕事を任せた以上は、部下のアウトプットに対しても管理職が責任を負うということである。
管理職は部下の行う仕事のアウトプットに対して負う責任を自覚し、積極的に部下に仕事を任せていかなければならない。管理職にとって部下に仕事を任せるということは、決して気楽なことではない。むしろ勇気のいることでもある。まして自分の負担軽減などと思ってはならない。仕事を振られた部下が尻込みをする場合もある。何故ならば、一般的に部下は依存心が強く、仕事の結果に対する不安が先行しがちであるからだ。なかには「なぜ、自分がやらなければならないのか」という具合に「やらされ感」を抱く部下も存在する。
従って、部下に仕事を任せる場合には仕事の意味と意義を明確に伝えていくメッセージを発信しなければならない。さらに任せる仕事の重要性を強調することも重要である。任された部下の立場からは、仕事の重要性の判断がつかない場合もあるからだ。
部下に仕事を任せる場合には、任せる範囲を明確に指示することも重要である。たとえば予算や発注先の選択の権限まで任せるのか、それともそれは相談の上で決めるのかなどである。つまり、任せた部下にどこまで決定権を与えるかをはっきりさせなければならない。さらに「いつまでに」という期限を示すことを怠ってはならない。また、期限を設定したうえで期間中に中間報告をさせて進捗の管理をしなければならない。
部下が中間報告を怠ったり、忘れたりした場合には部下に仕事を任された以上は報告義務がある≠理解させる意味で厳しく叱責する必要もある。これは部下が仕事の優先順位を誤り、屋上屋な仕事を繰り返して不必要な業務を繰り返させないためである。管理職が部下に仕事を任せるということは、部下に対して成長を期待している≠ニいうサインでなければならない。
管理職が部下に仕事を任せた以上は、微に入り細に入りの瑣末な指示や口出しを控えることも基本である。しかし、管理職は部下に対して相談を受け付ける門戸はいつでも開かれている≠ニいう姿勢を示さなければならない。また、要所での報告に関しては、厳密に実施させる厳しさが必要だ。これは部下に対して管理職が部下の仕事に対して責任を負っている≠ニいうことを部下に理解させていくうえでも重要である。
管理職は部下からの報告があるからこそ任せられる。部下からの報告がなされないことを嘆く管理職が多い。しかし、これは管理職の側の責任放棄でもある。部下からの報告を蔑ろにする管理職は自らの業務に責任を負っていない≠ニいう無責任さのあらわれであることを忘れてはならない。
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