2017年07月31日号
管理職は与えられた条件の下であらゆる資源を活用して利益貢献しなければならない。一言でいえば、いかにして業績の向上を図っていくのかということでもある。したし、単に部下への叱咤激励を繰り返しても業績が向上するものではない。そこで業績向上の基盤となる職場の「環境づくり」が不可欠となる。
ただし、これは「働きやすい職場」であるとか、「家族的雰囲気」などという抽象的なことではない。所管する部門・部署を構成する一人ひとりのメンバーが最大限のパフォーマンスを発揮することができる職場体質を創り出していくということである。同時にあらゆる事柄に対して改革・改善に能動的に取り組む職場風土を創り出していくことでもある。
職場を構成する一人ひとりが仕事をおもしろいと感じ、自らの働きが会社への利益貢献を通して社会への寄与につながる≠ニいう意識の醸成がなければ、仕事自体が苦役となるものだ。もし、部下が「人生の時間を切り売りして給料をもらっている」と考えているとしたら、それは「仕事がおもしろい」と感じられるはずもない。当然のことながら「仕事がおもしろくない」と思う部下は、自らの働きに責任を持つこともない。
しかし、管理職が部下に対して単に「不平不満を言うな」「責任感が足りない」「積極性と覇気がない」などと不満を抱き、叱責を繰り返しても意味がない。叱責をするのは、まだ部下に関心を持っている証拠でもあるが、最悪なのは叱責や不満を部下に吐露することもなく「放置」することだ。
管理職は部下と同一目線で物事を見てはならない。また、部下の成長に対して責任を負わなければならない。このため管理職は自分の所管する部門・部署を俯瞰して、部下に「仕事のおもしろさ」を誘発させて行くために職場環境を確認していく必要がある。この時に管理職は以下の点について自らの役割をチェックしなければならない。
1.部下に対し仕事の準備、計画、指示等を充分に行っているか
・一人ひりのやるべき仕事が明確になっているか
・一人ひとりのやりとげた仕事が、組織にプラスになっているか
・一人ひとりに、適切な仕事を間断なく与えているか
・一人ひとりへの支援や協力を惜しまないが、部下の力で完遂させているか
2.職場ガバナンスが効いているか
・一人ひとりの言動やビジネスマナーを含めた態度能力が備わっているか
・一人ひとりに適時適切な報告・連絡・相談に基づく役割認知が行われているか
・一人ひとりが会社の諸規定やコンプライアンスが遵守されているか
・一人ひとりにマーケットインの発想があるか
管理職は「職場環境」を重視することを曲解するあまり物分かりの良い上司≠演じる必要はない。また、相互の人間関係が円滑、円満でありもめ事が発生しない$E場が健全であるなどと思う必要はない。会社組織は「仲良しクラブ」ではないということだ。むしろ、活性化した職場とは方針や施策をめぐっての喧々諤々の対立が発生するものである。
管理職はこの健全な対立を恐れる必要はない。
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