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週刊Neue Fahne

2017年07月24日号

新任管理職の心得 -5- 部下に不安感≠与えてはならない

 部下が限りなく不安感”を抱くのは、管理職のネガティブな発言である。「こんな上司と一緒に仕事をしていてよいのだろうか」「こんな人が管理職になっている会社に将来性があるのか」という具合だ。聡明な部下であれば「こんな管理職にはなりたくない」との思いで、見切りをつけてさっさと転職してしまうものだ。若手社員が定着しない職場は、往々にして若手社員の側に問題があるのではなく、本来は模範となるべき管理職の側に部下を萎えさせるネガティブ思考が蔓延している場合が多いものだ。
 若手社員の離職の多さは一般的に管理職が醸し出す職場環境への何がしかの悪影響のバロメーターでもある。しかし、ネガティブ管理職はこのことに気が付かないばかりか、往々にして「最近の若者は…」などと口走るからより始末に悪い。

 若手社員が「こんな人が管理職になっている会社に将来性があるのか」との思いが顕在化し、時に反発を持ち始める組織はまだましである。もっとも恐れなければならないことは、こうした感覚が麻痺し、「管理職がこの程度であれば、自分だけが右往左往する必要はない」という考えが職場全体に蔓延することだ。実はこうしたケースが実に多いのも現実だ。こうした職場では、日々に与えられた仕事を言われたとおりに実行するだけで、改善や改革の思考が損なわれ、いつしか誰もが責任を負わない無能な集団と化して行くことになる。そして時には与えられた仕事にさえ不満を持ち始め、職場全体がネガティブとなるものだ。
 部下は正直なもので管理職の明確な使命感に基づいた姿勢に共感をするものである。部下に自らの使命を語ることができない管理職が口にする「部下育成」などは、所詮自らと同種の集団を創り出す弊害にしかならない。

 管理職は部下に対して大仰に「指導育成」と構える前にやるべきことは、部下に“不安”を与えないようにすることである。このために管理職がやらなければならないことは、単純化すれば二つに収斂される。
 一つ目は、管理職自身が仕事をミッションとして捉え、自らの気概のある働き方を堅持した行動を展開することである。このためには管理職自身が自らの使命を言葉として部下に発していく必要がある。つまり、会社という組織体を通じて、“自らが社会に対してどのような価値を提供しようとしているのか”、“仕事を通して自分の理想とする将来イメージ”を自分の言葉で臆せずに語ることである。
 二つ目は、仮に一つ目が「できていない」あるいは「できない」のであれば、さっさと管理職たるポジションを会社に返上して一人の工数労働や単純時間労働に徹することである。

 会社組織から与えられた管理職という役職は、自らが責任を果たすことと一体のものである。管理職は部下を正しい方向に導く責務を負っている。このため部下を“不安”に陥らせる管理職の存在は言語道断ということになる。
 早晩、この種の管理職は役割をはく奪されることになる。部下から“力量を見抜かれる”管理職は哀れ極まりない。そうなる前に自らの身の処し方を考える必要があるということだ。

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