2017年06月19日号
新任管理職が意識して習得しなければならない事柄は多岐にわたる。まずは単純にマネジメントは管理である≠ニ理解してはならないということだ。マネジメントを単なる管理と捉えてしまうならば、必然的にコントロールの側面を重視することになる。
しかし、マネジメントは単に人をコントロールすることではない。あくまでも自分が担当する領域の全体を見渡しながら統治・統制を行っていくことである。
管理職の中には「率先垂範」という意味を誤解して、部下をさし除けて自分で何もかもやらなければ気が済まないも者がいる。往々にしてこの種の管理職に限って自分は一所懸命に仕事をしているのに部下がついてこない≠ニいう心理状況に陥る。こうした管理職の下では職場がまとまることはない。これは部下が育たないのではなく、逆に管理職が部下と同レベルの事を抱えてしまっていることにある。
この結果、部下も成長しなければ必然的に業績も上がらないことになる。管理職の役割としてまず考えなければならない事柄は「いかにして部門のあらゆる要素を最大限に活用して、業績目標を達成していくのか」ということである。
当然のことながら管理職は目標が達成できなければ容赦なく追及されることになる。このため管理職は何とか予定通り業務を遂行しようと目標の達成にやっきになる。すると管理職はいつしか自分の本来の役割を忘れて、自分自身が部下と同じレベルの仕事を抱えてしまうことになる。ともすると目先の仕事を片づけるために、管理職が部下と同様に一戦力≠ニしてのみ働くことにもなる。
一戦力≠フ意識にとどまっている管理職は優秀なプレイヤーであったとしても、優秀な管理職にはなれない。実はこの傾向は慣れた業務プロセスを経過して昇格してきた管理職に強くあらわれる。もちろん、管理職は非常時において当面片づけなければならない仕事もある。また、ほかに誰も処理することができない事柄については、管理職自らが駆けつけなければならない。これが率先垂範である。間違ってもこの職責から逃げてはならない。
管理職には、「方針にもとづいて、職務を遂行するために、職場の力を結集する」という本来の仕事がある。管理職が一戦力≠ニして仕事をすることが恒常化している職場では、そのツケは必ず業績の低迷として管理職自身にまわってくるものである。
そこで新任管理職は改めて管理職とは「計画し、組織し、命令し、調整し、統制する」というマネジメントサイクルを回すことを意識しなければならない。このサイクルは、職場並びに部下を正しい方向に導く向かわせるために不可欠である。同時に自らが一戦力として奮闘する≠アとに安住することなく、常に全体を見渡す位置に自ら意識して立つことが大切だ。
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