2017年06月12日号
多くの企業で労働時間の削減が喫緊の課題になっている。職場の生産性向と時間短縮は一対の課題伴っている。何故ならば、日本では製造業を除き全般的に生産性が低いといわれて久しいからだ。生産性は一人ひとりの働き方の改善も当然のことだが、企業を構成するあらゆる部門の連携強化が前提とならなければならない。
例えば営業部門とバックオフィス部門の連携がなければ企業全体での生産性向上にはつながらない。つまり、営業部だけがいくら頑張っても顧客からの支持は得られないし、業績も上がるはずもなく、結果として生産性の向上にはならないということだ。
各企業とも売上を増やすために「営業力の強化」を目標にかかげ、優秀な営業担当者の確保や営業展開手法の改善に取り組む。しかし、営業部の頑張りだけでは、売上目標の達成はできるはずもない。業績が良い会社ほど、総務や経理、人事、業務管理などの非営業部門であるバックオフィス部門による顧客対応力が大きく貢献しているものである。
仮に営業部門がどれだけ行動量を増やしたとしても、もし顧客や新規のお客様への電話対応が悪く、伝達系統に弛緩が発生しているならば、当然のことながら支持を失ってしまう。さらには的確な顧客分析や営業展開に必要とされる情報を適時適切に発信する支援部門が存在しなければ、営業部門の空回りすることになる。ひいては営業部門とバックオフィス部門に軋轢を生み出すことになる。
企業が様々な部門で構成されているのは、あくまでも業績を上げるためである。従って、各部門が個々バラバラな独立した存在として機能しているならば意味がない。当然のことながら組織としての生産性も上がらない。
ところが、往々にして部門が確立すればするほど自部門の効率化を思考するが、他部門との連携が疎かになりはじめる傾向がある。これは大組織に限ったことではなく小さな組織でも同じである。自分もの業務の最適性を重視する余り、組織全体の最適性が見えなくなる傾向がある。自分が属する部門の生産性のみに一喜一憂しても組織の全体的な動きとの整合性がなければ意味がない。
企業組織において顧客接点の最前線は、いうまでもなく営業部門である。しかし、企業組織を構成するすべての部門は、直接的に顧客とつながっているという意識で持つ必要がある。この意識が欠如しているならば、部門間連携という意識も生まれてこない。部門間連携の重要性は、企業規模によって異なるものではない。また、今日では組織内の雇用形態の違いとも関係がないことである。
“自部門や自分の業務は企業組織の外と繋がっている”という意識の下で、組織を横断する視点で情報発信を行い、時には喧々諤々のやり取りを行っていくことが組織の生産性向上に繋がっていく。同時にこれは一人ひとりが自らの業務に責任を持って取り組むということでもある。
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