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週刊Neue Fahne

2016年11月07日号

自らの仕事観を明確に語れない管理職に部下育成はできない

 管理職にとっての部下育成とは、部下に仕事を前向きに取り組ませることである。部下育成で管理職が意識しなければならない最低限の事柄は次の三点だ。
 第一は、良き集団規範の堅持である。第二は、仕事のやり方である。そして第三が仕事の意味づけである。これらは一見すると新入社員や若手社員を対象にしているように思いがちだ。しかし、新入社員や若手社員のみならず、既存社員に対しても常日頃から教えていかなければならない事柄だ。そして何よりも管理職自身が常に反芻を繰り返して自ら問い返し続けていなければならない。

 良き集団規範とは、あいさつ、言葉づかいに始まる、職場における対人関係態度や職場の規律など、社会人として振る舞うべき基本だ。単純化するならば集団での身の処し方を規定する躾でもあり、日々の日常業務行動でチェックしていくことができる。
 仕事のやり方は、日常の業務行動の繰り返しで自然に身につくものではない。自ら目標設定を行い実行し、結果を検証した後に新たな課題を設定していくというPDCAの展開である。とりわけ若手新人に対しては、適正な課題を与えながら少しずつ“できること”のレベルを上げていかなければならない。管理職自身は決してルーチン業務に埋没することなく、新たな事柄にチャレンジする姿勢を堅持するということだ。
 仕事の意味を語るとは、“この仕事は会社のなかで、どのように位置づけられるのか”“担当する者は、会社のなかでどのような役割を果たしているのか”そして、“会社でいま働くことは、顧客や社会に対してどのような貢献しているのか”を問い続けるということだ。仕事の意味を語ることができなければ、仕事は単なる“やらされ事”ないし“他人事”になる。

 管理職自身が仕事の意味を語ることができなければ、部下を動かしていくことはできない。仕事の意味づけとは“何故この仕事を行うのか、行う必要があるのか”という根源的な問いかけでもある。仮に管理職が自らの経験に裏打ちされた仕事観を語ることができなければ、部下が仕事の意味を意識することはできない。
 とりわけ、管理職が“上からの指示を下に伝えるに過ぎない”という単なる橋渡し役であるとの意識でいるならば、部下に対してガバナンスを発揮するこができなくなる。つまり、管理職は自らが担当する部門の経営者であるという意識を堅持していなければ、部下に仕事の意味づけを語ることはできないことになる。

 企業組織とは、一人ひとり生まれや育ち、さらには世代の異なる者の集合体である。当然ながら管理職と部下の間には、業務経験や社会的な経験に大きな差が存在している。仕事に取り組む姿勢にも差が生じてくる。管理職がこの差を自覚して、自らが埋めていく必要がある。この差を埋めて行くためには管理職は自らの仕事観を明確にすることである。
 管理職自身の仕事観が部下育成の前提である。従って、自らの仕事観が未確立な管理職に部下育成などできるはずもない。管理職は部下の育成とは、実のところ“自らの問題”に還元されるということを自覚しなければならない。管理職が本当に部下の成長を望むのであれば、真っ先に管理職自身がこれまでのやり方を変えていく覚悟を持たなければならない。

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