2014年01月06日号
同一組織内において、自分と全く同じ「役割」を果たしている者は存在していないはずだ。企業組織にあっては、全く同じ「役割」を果たしている者が二人以上存在したとするならば、一人以外は不要ということになる。
仮に多数の者が「同一業務や職務」を担うことはあったとしても、個々人が果たすべき「役割」に差異があって当然である。もし、自分自身の「役割」は、他の者が果たしている「役割」と同一であると考えるのであれば、それは自己の存在を否定してしまう悲しい発想だ。
ただし、一人ひとりの「役割」は違うといっても、単純に「自分と他人は異なっている」「一人ひとり個性を重視しなければならない…」などという、一昔前の“ゆとり教育”でもてはやされたフレーズではない。
一人ひとりに異なる「役割」が存在するということは、一人ひとりが「自分の役割」を果たしていくうえで「責任が伴うものである」ということと表裏一体のものでもある。企業組織は一人ひとりが担う「役割」と同時にそれぞれが背負う「責任」の集合体として構成されている。
とりわけ、存続することの条件として利益を追求する企業組織では、組織を構成する一人ひとりが雇用形態の差異を超え、それぞれ自分の「役割」と「責任」を果たしていかなければ、組織としての目標を達成していくことはできない。また、「役割と責任」を担う覚悟も必要になる。
一人ひとりの「役割意識」が欠如した組織体は、やがてその機能を失うのは必定で最終的には“社会からの退場”を促されることになる。企業組織であるならば倒産に至るということだ。一人ひとりが企業組織において「役割」を果たすとは、自分の担当業務をひたすら繰り返していくことではない。
こうした行為に自ら甘んじているならば、何時しかその業務は「代用の効く業務」「誰にでもできる業務」ということになる。つまり、人材ではなく単なる「工数」に終わるということだ。
企業組織での働きでは、例え与えられた業務遂行の過程において、常に自分の果たすべき「役割とは何か」を考えていなければならない。自分の置かれたポジションや職域において、しっかりと自分の意見をもった情報発信を展開していくことも「役割」となるだろう。また、上下関係にこだわることなく、聴くべきことを聴くという姿勢を貫くことが「役割」となることもある。あるいは周囲への目配り気配りを通して「今自分が取るべき行動はなにか」を常に考えることも「役割」のひとつだ。
要は組織体を構成する一人として、自らの存在理由を明確にさせていくためにも「自分は何をなすべきか」という「役割意識」を磨き続けていなければならない。
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