2013年10月14日号
管理職の職務を役割と機能、そして責任の面から捉えるならば次のように概略できるだろう。
1.部門・部署の経営者であり、経営者の代行(代弁者)として社長を補佐して部下に対し会社の経営目標を明確に伝道。
2.人材育成視点に立って担当部門・部署を統括し、ヒト・モノ・カネ全体のマネジ
メント。
3.部下に対して優先順位を的確に示し、目標達成に向けた果敢な業務指導と支援。
4.経営目標にそくした部門・部署計画の立案、企画開発、部下へのビジョン設定と方向性の提示。
5.所管組織を管理・統率し部下の先頭にたって経営目標の達成に向けた率先垂範。
とりわけ管理職にとっては、その階位を問わず経営者の代行(代弁者)としての意識が極めて重要だ。ただし、経営者の代行(代弁者)の意味を「社長や経営陣のいう通りに業務を遂行する」とだけ捉えてはならない。経営者の代行(代弁者)としての役割は、会社の発展段階と共に変化する。
また、外部経営環境の変化によっても変化するものである。つまり、管理職の役割は常に変化する状況に対し敏感に対応していくという意識が必要だ。管理職には常に「状況対応力」が求められる。
一昔も二昔も前であれば管理職は、社長や経営陣の意思決定に従い、正確に業務を遂行することが求められた。そのために「職務能力」と総称された曖昧な能力は、経年によって蓄積されるという誤解や錯覚も生れた。
確かにパイ全体が拡大している時代であれば、この考え方も成立する。しかし、経営環境の移り変わりにより、管理職の役割は単純な日常業務の蓄積だけでは果たせない。そこで、これから求められるのは、いや本来求められていた「大局的役割」を今一度再確認する必要がある。
次にあげる3つの役割は至極当然のことであるが、管理職は日常業務に埋没してしまうと忘れがちになる。そのため常に意識化していなければならない。
その1:課題や問題を発見し、それを解決する
経営環境の変化スピードに合わせて、経営陣の素早い経営判断に資するため、現場管理職が経営者感覚を持って、会社組織の課題や問題を発見、解決する。
その2:目標を達成する
利益の確保に向けて、管理職は自分の成果を上げるだけではなく、全体目標を自らの所管する部門・部署に落し込み、部下に成果を上げさせていく。
その3:仕事を通じて人材を育てる
個人目標を全体目標の中にしっかりと位置付け、未熟な部下を支え、鍛え、組織力を発揮して、会社の利益に貢献する。
管理職の「状況対応力」の原点は、会社が自分を含めて「社員の仕事と収入を保証してくれる」という発想や意識を捨てることである。
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