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週刊Neue Fahne

2012年11月05日号

「できない理由」ではなく「できるようにすること」を考える

「それは前例がありません…」という言い草は、なにも某国の官僚諸氏の常套句だけではない。一般の企業組織の現場でも「できません」「それはちょっと…、いままでやったことがないので…」という会話が多くなされている。
 仕事を振られて真っ先に「できない理由」を考えて、逃れようとする発想を持つことだけは戒めなければならない。同時に「できない」理由付けとして「○○がない」「人手が足りない」「時間がない」などなど、数限りなく理路整然と「できない理由」を述べる者もいる。
 人は経験したことがないこと、ムリかな…と思ったとき、「できない理由」ばかりを考える。それはこれまでの経験や慣習が壁となり、自然と否定的な考えが浮かんでくるからに他ならない。

 また、実行する前から「できない理由」を思い付くのは、失敗した時を想定して、その責任から先ずは逃れようとする自己保身に走る気持のあらわれでもある。同一組織内部であるならば、仮に上司や同僚からの依頼事に対して、「できない理由」をあげつらえば、恐らく上司や同僚は「やってみます」という者に仕事を依頼する。ただし、その際に「できない」といった者は、上司や同僚からの信頼感は失うだろう。
 もちろん一度「できない」といって断った者に対しても、時には挽回のチャンスが訪れるかもしれない。しかし、依頼事に「できない」を繰り返していると自然と仕事は降りてこなくなること覚悟する必要がある。その結果は、単に職場に「ていも、てなくてもよい人」になるということだ。

 一方で顧客に対して「できない理由」を延々と述べたならば、顧客はどのような対応をとるだろうか。恐らく顧客からは自分自身の存在意義のみならず、自分が属している企業組織の存在が否定されることになる。
 つまり顧客は、交渉することが「ムダ」であると思い、即刻見切るものだ。もちろん、「できないこと」を「できる」というのは詐欺行為に繋がる。顧客との関係は、たとえ顧客からの要望事項が実現困難な申し出だとしても、「できる理由」を共に考える姿勢をとらなければ、一瞬で相手にされなくなる。
 顧客は自社が困っていることを何とかしたいために他社に「できる可能性」をさぐるものである。顧客は自分で「できること」事であるならば自社で行うからだ。
 
 日常的に「できない理由」をあげつらう癖がついてしまうと、いつしか何もしないことが日常になってしまう。こうした姿勢をとり続けていては進歩・成長とは無縁の「荒廃」が待っているだけだ。

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