2012年10月29日号
会社の中で常に「忙しい!忙しい!」を連発している者がいる。何をそんなに忙しがって汲々としているのか?と観察していると“今やっている業務”に追われているケースがほとんどだ。つまり、仕事の流れを捉えて途中経過の確認を行わない、仕事の優先順位を付けずに“来た仕事”を手当たり次第にこなすことに満足し、「自分は忙しい」と錯覚をおこしているわけだ。
こうした場当たり的な仕事スタイルに終始してしまう者に限って、会議に使用する資料コピー作成などを任されると、プリントが終了するまでコピー機から離れずにいるなどという「ムダな時間」を消費する。
会社組織での仕事には必ず目的が存在しているものだ。目的のない仕事は基本的に「やらなくてよい仕事」である。そして仕事の目的を確認したならば、その仕事が終了するまでの時間や手法をイメージしなければならない。仕事とは達成目標を明確にし、そのゴールを設定しない限りスケジュールを立てることができない。
会議などで先月に立てた目標の成果を問われると「いま、やっているところです」と繰り返す者がいる。しかし仕事を指示した者からすれば、実に腹立たしい限りだ。何故なら成果を聞いているからだ。本人には決してサボっていたという意識はない。また、実際にサボっている訳でもない。しかし、自分の仕事に対する進捗管理が出来ていないため、堂々巡りの仕事に終始してしまっている。
仕事には目的が存在しているのと同時に必ず期限=納期がある。顧客に商品・サービスを提供する場面では、必ず「いつまでに、なにを、どうするのか」を提示するものだ。仮に「いつまでにできるかわかりませんが、とりあえずお引き受けします」などは、余程の特殊な商品・サービスを提供する会社でなければ通用しない。
一言でいえば強力なブランド力を保持した会社でなければ、顧客は自社と同様の商品・サービスを提供する他社に乗り移る。同様に「余裕があるときに…」などと悠長な思いで仕事に取り組んでいると、その仕事は必ず他者に振りあてられて、会社組織での自分の存在価値を失う結果になる。
仕事に対して目標をもたず指示どおりに終始しする、あるいは思いつくまま手当たり次第に進めてしまうなどの仕事スタイルを展開していると、当然のことながら仕事の中に存在している「ムリ・ムダ・ムラ」を発見することもできない。
何故なら自らの仕事の進捗について客観的に見ることが出来ていない者には、そもそも効率という概念も生まれないからだ。自らの仕事に対してゴールを設定し、達成に向けての段取りを考えない者には、「ムリ・ムダ・ムラ」を特定する素用も養えないからだ。
仕事には「永遠の今」などは存在しない。常にゴールを設定し計画的に物事を進め、進捗段階ごとに計画の推移を確認していく仕事スタイルに徹することが、自分自身の価値をも高めていくものだ。
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