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週刊Neue Fahne

2012年06月11日号

ビジネス上で「責任をとる」という意味

 日本では昔から悪い結果や不祥事が発生した場合には、当該の責任者が職や地位を辞任することで「責任をとる」という風習がある。これは武士の切腹が責任を取る方法として行われてきたことに由来するらしい。その名残がいまだにビジネスの世界でも潔い責任のとり方であるかの風潮がある。
 しかし、風潮は発生した問題などの経緯や経過曖昧にし、責任者が辞めることである種の幕引きをしてしまう傾向を生んできた。もっと悪くいえば、政治の世界などで「トカゲの尻尾切り」として利用されてきた。
 とりわけビジネスの世界で責任を取るという意味は、当事者が発生した事柄の原因を探求し、改善に向けての対策を講じ、次のステップへの糧を明確にしていくということである。

 ビジネス上での責任とは大別すると「経過責任」と「結果責任」の二つに分類される。
「経過責任」では、仕事を行っていく過程で発生するさまざまな問題に対して、自分が果たすべき役割を果たしているか否かが問われる。
「結果責任」では、経過に対する責任は果たしているが、最終的な結果に対して自分に帰すべき責任の有無が問われる。
 ビジネスを行っていく上で陥りがちなのが、自らに「経過責任」がないという点を強調してしまうことだ。そのために「結果」に対する責任に無頓着となる傾向だ。たとえば、仕事の上で協力先とのリレーションが悪く、最終的にお客様への納期に間に合わないという事態が生じたとする。こうした事態が発生した場合の対処の仕方で「責任」に対する捉え方で違いが往々に発生する。

1.自分は協力先の担当者に対して、納期の段取りをしっかりと伝え、役割分担を確認し調整もしてあった。しかも、こちら側の非ではなく協力先の責任であることが明確とするための記録もとってある。従ってお客様への納期遅れは協力会社の責任である。
2.自分は十分に協力先の担当者と調整していたつもりだが、お客様への納期遅れが発生した事実は否定できない。従ってお客様との約束を守ることが先決なので、責任の所在は後回しにして納期に間に合わせるためにあらゆる手段を講じる。

 確かに「1.のケース」では経過に対する責任は果たしているのである。しかし、あくまで「経過責任」しか果たしていないことになる。一方で「2.のケース」は経過についてはともあれ、お客様への納期が守れない危険性があるという結果に対して、自分が負うべき責任を果たすため、可能な対策を行うという「結果責任」を重視していることになる。ビジネスの世界では「結果責任」がすべてといってもいい過ぎではない。「経過責任」ばかりに目が行ってしまうと、「自己保身」となり結果に対して無責任になってしまうものだ。
 仕事上では誰しも失敗やミスを犯す。時には上司やお客様から「責任をとれ!」と怒鳴られることもある。仕事で発生した失敗やミスという結果への責任のとり方とは、「仕事を通した失敗やミスの挽回」以外にはない。

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