2012年04月30日号
誰しも他者から「認められている」と感じるときには、自己の存在意味を見出すものだ。ただし、「認められる」ということは、片務的なものではなくあくまで相互的なものである。とりわけ会社組織に属しているからには、一方的に会社組織から「認められたい」と願ったとしても、自らが「認められる」努力を怠ったならば、単なる「ぶら下がり」との評価が下されることは必定だ。
会社組織で自分自身が他者から「認められる」という存在になるためには、自らの存在価値を創りだしていかなければならない。自らこの努力をしないで「認められたい」「存在価値を示したい」と思うのは、単なる自己顕示欲であり周囲からうとまれる結果となる。
周囲から認められ、自らの存在価値を示していくとはどのようなことか。そのキーワードとなるのが「貢献意欲」と「仕事の質」の二つだ。
「貢献意欲」とは、組織に必要な「共通の目的」と同様に組織が組織として存続するための必要要素に他ならない。自らは何もやる気がなく、ただ周りに同調しているだけ、という意識では組織を構成する一員とはいえない。
また、「貢献意欲」に乏しく、マイナスに作用する存在であるならば、組織から排除されることは当然のことである。組織では組織を構成する者同士が、お互いに貢献するという意欲を持ち続けることが必要だ。
「仕事の質」とは、やる必要のまったくない仕事や時間の無駄となっている仕事を素早く見つけ出し、それを速やかにやめるように働きかけていくことだ。会社内を見渡すと非常に忙しそうに動き回っているひとがいる。本人も実に忙しがっている。
しかし、そのひとの行っている「仕事」を行わなくとも会社組織では、全く問題が発生しないというケースが非常に多いのも事実だ。つまり、組織は時間の経過とともに色々な業務が発生し、細分化されてくる。そこにはいつしか「既得権」も生まれてくるものだ。
自分の存在価値とは、他人との比較で相対化されるものではない。あくまでも所属している組織や社会からの絶対評価である。何も他人の粗を探すのではなく、自分自身も含めて自らの組織に貢献していないと思われる「仕事」を敢然とやめ、問い直していくという勇気ある行動も必要ということだ。
会社組織がその組織を構成する一人ひとりに対して、役割と任務を与えることは当然のことである。そして一人ひとりの構成員は会社組織を通して自らの成長の機会を得ることも当然のことである。こうした一人ひとりと組織の関係があれば、相互に得るものが多く、成熟した関係を創りだしていくことができる。
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