2025年03月24日号
上司が部下に権限委譲を徐々にしていかなければならない。その際に権限委譲は「部下にとって単なるタスクの割り振りではなく、“自らの成長機会である”」と理解させることが肝心である。部下に対して権限が与えられるということが、「単なる業務量の調整」などではなく、自らに与えられた「能力を伸ばすための機会」として意識させる必要がある。この意味で権限委譲は部下の指導・育成にとって重要な位置を占めることになる。これを踏まえて上司は権限の委譲に当たって以下の諸点に注意を払わなければならない。
1.明確な目標設定と期待の伝達
権限を委譲するにあたって、部下が取り組むべき目標や期待される成果を明確に伝えなければならない。「何を目指すか」「どのような水準を期待しているか」が曖昧なままであるならば、部下は何を基準に判断すべきかが分からず、不安定な状態に陥る。目標を明確にしつつ方法についてはある程度の自由を与え、部下の裁量を尊重する姿勢が重要となる。
2.サポートの提供と適切なフィードバック
権限を委譲するとはいえ、放任するのではなく、必要に応じてアドバイスやサポートを提供する準備を怠ってはならない。部下が何らかのサポートを必要としていると感じた場合には、上司として適切に助言やリソースを提供する。また、進捗や問題点についての適時適切にフィードバックを行うことで、部下は軌道修正を行うことができモチベーション維持することができる。
3.失敗を許容する姿勢
部下にとって新たな責任を担う業務の展開はチャレンジでもあるが、失敗する可能性も秘めている。権限委譲を行う際には、“失敗も部下が成長するための学びの一環である”と捉え、過度に責めるのではなく、失敗から学びを得られるよう促すように導かなければならない。ただし、業務や組織に重大な影響が出るような場合もあるため、適切なリスク管理が必要となる。
4.責任の範囲を明確にする
権限の委譲に伴い、「誰が最終的な責任を負うのか」についての理解も共有しておくことが重要となる。部下に権限を与える場合には、上司として最終的な責任を取る覚悟を示しつつ、部下が自身の行動に責任を持てるように導く必要がある。最終的な責任は変わらず上司にある。権限委譲と職務怠慢を混同してはならない。
5.信頼関係の構築
権限委譲が円滑に行われるためには、上司と部下の間に信頼関係があることが不可欠である。部下が「上司は自分を信頼してくれている」と感じられることで、仕事に対する積極的な姿勢や主体性が高まる。逆に、上司が不安を抱えたまま権限を渡してしまうならば、部下も安心して自分の力量を発揮することができない。
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