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週刊Neue Fahne

2024年05月13日号

若手社員に真摯に向き合う-4-若手社員に必要な積極的な“助け船”

現在、日本企業の中で現役の現場マネジメント世代は、企業規模に関わらず概ね「失われた○○年」がはじまった頃以降に企業人生活をスタートさせている。一方で高度経済成長期の雰囲気を色濃く残した上司・先輩に指導されてきた。このためか個別の温度差はあるにせよ、プライベートと仕事の境目が曖昧にされている。
  上司からの急な業務の指示にも厭わず従うことが“習い性”になっていた。コンプライアンスに対する視点や概念なども培われていないのは無論のことである。日常業務においては職場で察することが重んじられ“阿吽の呼吸”で仕事を行ってきた。時には上司からの理不尽な指示や要請にも耐えてきた。とりわけ中小企業においてはこの傾向が強く、マネジメント手法の訓練や経験の蓄積が薄く、職務能力としてマネジメント力が未形成ないし皆無な上司による部下指導が展開されてきた。

  直截にいうならば今日の上司層は、一世代前の自分の上司から受けてきた指導の下で“生き残ってきた者”である。しかし、今日の若手社員は仕事の指示について、それを行う意味や具体的なやり方について詳しい説明を上司に求める。こうした若手社員に対してかつて自分が上司からかけられて嬉しかった「失敗しても構わないから…」「自分の思う通りやってごらん…」は通用しない。
  若手社員はこうした指導を「自分は放置されていると」とさえ捉える。これは言い方を変えるならば、若手社員に仕事についての理解を促していくためには、上司からの積極的な“助け船”が必要になっているということである。仮に現場マネジメントを司る世代が“助け舟”を出す事を厭う態度や行動を示したならば、その瞬間に今日の若手社員は、自らの属している組織から距離をとるようになる。ただし、今日の若手社員はこの距離の発生を態度に表さないという一種の“強かさ”を持っている。

“強かさ”とは表面的に反発を公言したりしないということである。このため現場の上司が若手社員の日常業務にあらわれる現象から若手社員の抱く“組織からの離感意識”を読み取ることが難しくなっている。いつの時代にも、旧態依然としたマネジメントや職場文化に固執したがる年長者は存在している。こうした年長者は自分の若かりし時代を若手社員に投影して自己満足するものだ。
  しかし、仕事に取り組む姿勢や働き方に対する価値観が異なる新たな世代には、この種の行為が「古き武勇伝」の吹聴にしか映らないはずだ。この現実を前にして現場マネジメントを司る世代も仕事に対する原理原則を再確認しつつ、自分たちの意識を変えていかなければならない。

  確かに今日の若手社員の諸行動は、旧来の仕事観の範疇からするならば一見すると「プライベートが第一で仕事はその次になっている…」と映るなど理解するのは難しい。しかし、以前は何時間も平気で残業していた世代も今では、その生産性の低さを自覚し始めているはずだ。有給休暇も以前よりは消化するようになっている。子育て世代の就労に対しても少なくとも表面的には寛容に対処せざるを得ないはずである。
  今日では多くの企業現場で時代変化に伴う意識変化が涵養され始めている。従って、現場マネジメントを司る世代はいつまでも“最近の若手社員は…”“自分が新人の頃は…”式の繰り言を繰り返していても始まらない。今日の上司世代は自らがこれまで企業組織で受けてきた指導・育成を内省的に捉え返して、若手社員の思考や傾向、行動特性を理解し受容しつつ指導方法も時代に合わせて変容させていかなければならない。ただし、これは“若手社員にオモネル”という意味では決してない。

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