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週刊Neue Fahne

2021年04月19日号

テレワーク下でも普遍のマネジメント姿勢 -7- 部下の強みを発見し適正に評価する

自分の「弱み」を「強み」に変えるためには、相当のエネルギーが必要となる。そもそも人は自分の「強み」を理解しているわけではない。ドラッカーは「強みのみが成果を生む。弱みはたかだか頭痛を生むくらいのものである。しかも弱みをなくしたからといって何も生まれはしない。強みを生かすことにエネルギーを費やさなくてはならない。」と喝破する。つまり、部下を成長させようと考えるならば、短所を直させるよりも長所を自覚させて伸ばさせて「強み」に転化させることに注力する必要がある。
  これは若手・新人に対しても同様のことがいえる。若手・新人は、自分ができる事柄に対しては当然のことであると認識しているため、それを自らの「強み」であることに気づかないものだ。逆に、自らに難しいもの、不得手なものが大きく見えるものである。このため、ことさらにできていない事柄に対して指摘すると意気消沈するものである。

 日常の業務行動においても上司は部下の短所や欠点が気になるものだ。そして、短所や欠点を克服して欲しいと思うものだ。この思いは部下の直接的行動が見えないテレワーク下では、より増幅し、部下の短所や欠点が微に入り細に入り気になり始める。一方で長所は「できていて当然」との思いが先行するため、さほど気に止まらなくなる。
  とりわけ、一定の経験値を有している上司にとっては、部下とりわけ若手・新人ができない事柄に対して、あたかも「年齢の割には幼い」という思いに陥りがちとなる。そして長所に対しては、何故か過小評価をしがちとなる。しかし、仕事の処理は遅いがアウトプットが正確である者もいれば、自分から発言することは苦手だが相手の話をしっかり聴く姿勢がある者もいる。

  一見すると幼く感じられる若者・新人でも、よく観察して長所として評価すべき行動がとれているものだ。上司は自分との比較の上で、部下のできている、できていないを判断してはならない。可能な限り長所を探し出して、伸ばさせていく必要がある。仮に小さな長所であったとしても、恒常的に伸ばしていく努力を惜しまなければ部下の「強み」に転化することにつながるものだ。
 上司が部下の小さな長所さえ気づかず評価することなく、短所のみを指摘しつづけるならば、部下の意欲が高まることはない。同様に必要以上に短所を指摘し矯正させようとするならば、長所であった事柄さえも犠牲にしてしまう危険性もある。

  上司が部下の成長を促すとは、単にできていない事柄を単純に短所として捉え、ことさらに克服させるように不必要なエネルギーをかけさせないことだ。むしろ、部下の保持している長所をより自覚化させて「強み」へと高めさせていく必要である。これは決して部下を甘やかすということではない。あるいは単純に「ほめて伸ばす」という意味でもない。
  上司は単に部下を一律に捉えるのではなく、個々の能力を具体的に評価するということに徹する必要がある。同時に部下は自分の長所をさほど理解しているわけではないということを認識することだ。部下を指導・育成するとは、本人が自覚していない長所を如何にして「強み」として認識させて自ら伸ばすように仕向けていくことである。「強み」を伸ばすことは必然的に「弱み」を凌駕していくことにつながっていく。そして、個々の「強み」はメンバーの総体の「強み」となり、組織力の強化へとつながっていく。上司による部下の「強み」の発見とその適正な評価は、上司と部下との関係においても相互理解を促し、結果的に組織に成果をもたらすことになる。

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