2021年02月01日号
仕事上で成果をあげていこうと思うならば、先ず自分の業務上での「強み」をしっかりと理解することが先決となる。とりわけ、ジョブ型雇用においては一人ひとりの職務遂行能力が問われることになる。仕事上で結果的に成果が出なかった場合などにおいても「頑張った私を認めて欲しい…」という姿勢は通用しない。あくまでもアウトプットや成果が問われ、評価の対象となることを肝に銘じておくことが前提となる。
そのうえで自分自身の職務遂行能力を向上させていくためには、先ず「己を知る」ことから始めなければならない。仕事上で成果や結果を出して行くための近道は、自分の「弱み」をなくすことではなく、「強み」を磨いていくことだ。しかし、自分自身の「強み」はなかなか理解していないものだ。反面で自分の「弱み」は比較的理解しやすい。
仕事をしていくうえで自分が認識している「弱み」は、往々にして他者との比較において必要以上に気がかりになる。自分自身の「弱み」に対する気がかりは、仕事のモチベーションに大いに関係してくる。自分には難しいことが、同僚が簡単に熟す姿などを目の当たりにすると、「心中穏やかならず」という状況に陥ることもある。同僚ならまだしも相手が部下であるならば、つまらない嫉妬心さえ芽生えることさえある。
ひとは他人の「強み」と自分の「弱み」を比較してしまいがちだ。そして、いつしか「自分は能力が劣っているのではないか」との思いに苛まれ、モチベーションの低下を招いてしまうこともある。しかし、仕事上であらゆる能力を兼ね備えているスーパーマンは存在しない。ジョブ型雇用の下での働き方において最も重要なことは、他者と不必要な比較をするのではなく、あくまで自律した働く方を貫くことだ。
自律した働き方の基本は、自分の「強み」に焦点を当て、徹底して自分の「強み」を伸ばしていくことだ。よく「三つ子の魂百までも」といわれる。幼いときの性質や培った習慣は、老人になっても変わらない。心理学の世界では幼年期には既に性格が規定されてしまうともいう。従って成人になってから「性格」について、他人から色々いわれても自分自身で責任を取ることはできない。
自分の「弱み」も然りだ。自分からはなかなか変えることはできない。よほどのことがなければ「弱み」を克服することはできないものだ。そこで、仕事を行っていくうえでは「弱み」を克服しようと考える前に自分の「強み」を徹底的に磨く行動をとることにエネルギーを傾注した方が得策となる。特に自分の行動を意識して変えることは可能なことだ。
同僚や後輩も含めた周囲の関係者には、「強み」もあれば「弱み」もある。得てして自分が上席者の場合には相手の「弱み」に気が取られがちだ。同僚や後輩に対して、いくら「弱み」を指摘したところで意味がない。「強み」を率直に評価し本人に対してその「強み」を伸ばすように伝えていくことだ。こうした姿勢は「傷のなめ合い」などでは決してない。相手は同僚や先輩からの一言が励みとなり、自信をつけていくことになる。
自分自身の「強み」を磨き、他者の「強み」を真摯に評価する。仕事上の最大の資産は一人ひとりの「強み」の集積以外にはない。自分の「強み」を磨き、同僚・後輩の「強み」を率直に認め、評価するという行動の定着は組織文化の形成につながる。
一覧へ |