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週刊Neue Fahne

2020年11月16日号

ジョブ型雇用を踏まえた働き方 -12- 参画意識を堅持した自らの存在理由の明確化

少しでも自分の考える方向に組織を動かしていくためには、日々の業務実践において「いま、自分には何が必要か」という“問いかけ”の姿勢が重要となる。この端緒となるのが組織に対して自ら「参画」し「協働」する姿勢の堅持だ。企業組織の一員である以上は、業務に「参加」しているのは当たりまえだ。しかし、「参画」となると自発的かつ積極的に加わり影響力を発揮していくことが要求される。単に受けた指示を忠実に熟していくことだけでは済まされない。漫然と企業組織に属しているだけであれば、単なる「参加者」に過ぎず、周りを巻き込んだ「協働」にはならない。
“自分は果たして、「参画」意識をもって仕事に接しているであろうか”とう常日頃から自らに問いを発し続けることが、自らの成長につながっていく。「協働」とは、「共通の目的を実現するために、役割と責任を自覚したうえで、相互の立場を尊重して、対等な関係で協力しあう」ということだ。自発的かつ積極的に企業組織に「参画」している者でなければ、「協働」意識が身に就くことはない。

「協働」意識がなければ自分の仕事に対するモチベーションを維持し高めることは不可能だ。なぜなら単純な「外的要因」としてのモチベーション向上は、所詮は一過性のもので長続きがしないからだ。よく例に出されることだが、心理学において二つのチームにそれぞれ、同じパズルを解せ、一方のチームにはパズルを解くごとに「報酬」を与え、他方のチームには「報酬」を与えないという実験が行われた。実験開始の段階では「報酬」を与えたチームは、休憩時間も惜しんで喜々としてパズルの回答に励んだ。
  しかし、時間が経つにしたがって、決められた休憩時間にはピタリとパズルを止め、休憩時間が終わるとパズルの回答をするというスタイルに変わった。一方の「無報酬」のチームは、逆に時間の経過とともに休憩時間にもパズルの回答に挑戦し続けた。つまり、「報酬」には関わりなくパズルそれ自体を楽しみ始めたわけだ。仕事のモチベーションを高めるとは、今の仕事を好きになることが一番の早道だ。

  物事において自らの努力が全て報われる訳ではない。とりわけ仕事上では、どんなに自分自身が努力をしても自分一人の力では成果に結びつかないこともある。逆に努力する行為・行動を怠ったとしても偶発的に何がしかの「成果」が生まれることもある。しかし、この「成果」には再現性を期待することはできない。こうした再現性のない仕事を繰り返していては、いつしか「努力すること」それ自体に意味を感じなくなり、なんとなく「仕事をこなす」ということになってしまうものだ。
 自分に課せられた課題や仕事に対して、「自分には荷が重い」と感じてしまう者は、失敗に対する恐れを抱いていることになる。この「恐れ」は、失敗することにより「周囲に迷惑が及ぶのではないか」という危惧が原因ではない。むしろ、失敗した場合に自分のプライドが傷つけられ、自信を失ってしまうことに対する「恐れ」からくるものだ。これは「無意識」な逃げ道を自分自身でつくる自己防衛に他ならない。

  自分で常に「逃げ道」を用意している者は、確実に企業組織では通用しない人材になってしまう。こうした行為・行動をとり続けているならば、いつしかそれが自分の「仕事への姿勢」を形成してしまうことになる。そして、周囲からは「自助努力が欠如している」と評価されてしまうことになる。
  努力することを避けようとする者は、組織にとって単純な「工数」扱いを受けることになる。そして、いつしか企業組織からは不要な人材と位置づけられることになる。企業組織の一員として自らの存在理由を明確化させていくためには、あくまでも自助努力を前提とした組織への参画意欲を堅持していくことが重要となる。

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