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週刊Neue Fahne

2020年01月20日号

新人を「困った君」にしてはならない−1− 新人育成には現場の力量が問われる

新人の配属時期になると毎年のように現場から「こんな新人をなぜ採用したのだ!」という愚痴が発せられる。愚痴の内容もさまざまだが、一応に新人の思考や行動に対して理解に苦しむというものが多い。とりわけ現場から「新人は指示したことしかやらない」という不満が聞かれる。一方「新人はいちいち細かく指示をしないと動かない」という不満も聞かれる。
  新人が「指示したことをやる」のであれば、細かく指示をすればよいのである。つまり、現場の新人に対する不満は、正しく指示を新人に示していないということを暴露しているようなものである。的確な指示もせずに「思ったように動いてくれない」と愚痴るのは、源氏の怠慢でもある。

  現場が新人の行動で頭を悩ませ不満を抱くのは、概ね次のような項目に収斂されるだろう。
・指示待ちで自分から動こうとはしない。
・何度言っても平気で同じミスを繰り返す。
・仕事の優先順位が付けられず、スケジューリングができない。
・自分で仕事のやり方を工夫することなく「どうしましょうか」と繰り返す。
 こうした傾向は、一般的に「最近の新人」と一括りで語られている。そして、あたかもこうした傾向が「ゆとり教育」が原因であるかのように勝手に解釈して自己満足してしまう。しかし、これらは新人や若手社員に特有の問題であるばかりではなく、企業組織に属する者の一定数に広く当てはまる。そして、経営陣は幹部社員に対してさえ同様の不満を抱くものだ。従って、世代のギャップであるとか、今どきの若者だから…、などという曖昧な解釈では解決の糸口さえ見つけられない。

 現場マネジメントは新人を含む若手全般に対して、「これまで適切な育成対応をしてきたのか」と内省し、謙虚に振り返る時期に来ている。そして、新人・若手に対しての指導・育成が「いかにならねばならないのか」を真剣かつ前向きに考えなければならない。新人・若手に対して、適時適切に「今ここで何をすればよいのか」「どのように行動すればよいのか」を具体的に示す行為をしていかなければならない。新人・若手が自分の力で自然に成長してくれるなどいう虫の良い安易な発想は捨てなければならない。
  まして、職務経験を積んだ者の基準を当てはめてはならず、現場の期待に即応できる新人・若手など存在しないと覚悟しなければならない。現場が求める「優秀なむ人材」など「絵に描いた餅に過ぎない」と考えるべきだ。優秀さは日常の業務行動を通して身に着けていくものである。ただし、漫然と日常業務を繰り返していくだけで職務能力が蓄積されるわけでは決してないことも現実である。

 配属されてきた新人は現場で一定の経験を積んだ者からするならば、どこから見ても欠点ばかり目につくものである。しかし、こうした新人に「使えない新人」とレッテルを貼って済ましているならば、組織全体の力量は決して高まらない。繰り返すが新人に「即戦力」など決して求めてはならない。新人に対しては辛抱づよく育成する気概を現場が持ち続けなければならないということだ。新人に対して「使えない新人」とレッテルを貼ってしまうのは、「部下であれば、指示・命令である程度は動くもの」という固定観念に囚われている証左である。
  同時にこの固定観念は、新人に限らず部下の成長への期待を持たず働きかけを厭う現場マネジメントの怠慢と自己保身につながっていくことになる。新人を含めた部下の成長は、現場マネジメントの力量に左右されることを忘れてはならない。さもなければ職場は「困った君」の再生産の場と化すことになる。

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