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週刊Neue Fahne

2019年03月25日号

OJT担当者の心得−1− OJTは担当者が自らの就労姿勢を律することから始まる

一昔前までは、職場に新人が入ってきたなら自然と若手の先輩社員が指導担当となり、他の社員たちと折に触れて指導するということが当たり前のように行われていた。しかし、今日では新人への指導・育成を牧歌的に位置づけてはならない。いうまでもなく企業組織にとって新入社員を迎え入れ指導・育成するということは、単なる人員数の確保ではないからだ。新入社員の育成はあくまでも「経営理念」に基づいた自社の継承発展に寄与する課題である。
  既存社員とりわけ直接的な指導・育成、あるいはメンター役に就く者は、これまでの自らの働き方の“良い面、悪い面”を検証していかなければならない。つまり、新入社員に対して自分が健全な意味での優位性を示すことができる模範であるか否かが問われるということだ。従って、OJTを部下・後輩指導の単なる手法と捉えてはならない。

  近年、雇用形態が多様化し、外部に業務を委託することも増えてきた。これまでのように組織の階層関係の中で業務を引き継いでいく余裕がなくなっている。また、採用の空白期間が長かった企業では、新人と既存社員の年齢に幅が発生し後輩を育てる文化そのものが途絶えてしまっている職場もある。従来のように伝承的なOJTが機能することは少なくなっているのが現状だ。
  指導・育成を行う側を取り巻く環境も大きく変わってきている。職場の人員体制はますます厳しくなり、一人ひとりに専属のメンターを配置して手取り足取りのOJTを行うことが難しくなっている。さらに、教えなければならない業務内容自体も多様化、複雑化しており、指導担当者ひとりでは教えきれない場合もある。こうした状況下において、新人に対してただ漫然と現場に配置して仕事のやり方を見て覚えさせるというだけでは、新人を放置するのと同じであり、期待通りに戦力化することはできない。つまり、OJTを組織全体での育成取り組みと位置付けなければならない。

  指導・育成にあたっては、日常的に行っている新人との接点こそがOJTであるという認識を持つ必要がある。特別なマニュアルやフォーマットがなくても、この「新人との接点」の重要性を理解することができれば、新人をレベルアップさせることができる。一般的にミドルマネジメント層の仕事は、部門目標の管理・達成、自分自身の目標達成、部下育成、業務改善、取引先や顧客との折衝、自己の能力向上……と多岐にわたっている。
  なかでもOJTはミドルマネジメントの重要な仕事の一つである。OJTは一般的に「部下育成」、「職場内教育」「仕事を通して、上司が部下に必要な知識、技術を計画的に教育すること」と定義される。つまり、部下である新人に目標を明確に描かせ、適切な指示を行い実行させて、その結果を報告させる、という日常業務における接点そのものがOJTということである。

  新人育成について「マンツーマンで手とり足とり教えなければならない」とイメージしがちになる。このため、「面倒なもの」「仕事が忙しくてやっているヒマはない」と思ってしまう。しかし、OJTとは新人に対して「教える責任」と「育てる責任」という2つの責任を負っている企業の責任を果たすことであることを自覚しなければならない。つまり、新人を早く一人前に育てることが経営環境の変化に対応する強い組織づくりに深く結びついていることを再認識する必要があるということだ。企業の成長は社員一人ひとりの成長の上に成り立っていることが自明であるからだ。
 OJTは難しい手法を必要としない。OJTは決して“特別なこと”ではなく、新人に対して健全な就労姿勢を身につけさせていくことでもある。たとえ、自社に制度化されたOJTの仕組みが存在しなくとも、日頃から新人をしっかりと観察し何気ない一言や行動(立ち振る舞い)を見逃してはならない。同時にこれはOJTを実践する立場の者自身の就労姿勢を律するということでもあることを忘れてはならない。

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