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週刊Neue Fahne

2018年07月02日号

「雇用される能力」を磨けない管理職は駆逐される

 日本の雇用制度が大きな分岐点に入った。今後あらゆる局面において企業組織で働く者にとって、自らの働き方が問われてくることになる。とりわけ企業組織での働きは“寄らば大樹の陰”という意識にすがっていては存在意味がなくなってくる。巷間、人手不足が喧伝されて有効求人倍率が高止まりして、新卒・中途採用を問わずあたかも「売り手市場」であるかの雰囲気が寛延している。しかし、忘れてならないことは表層的な「売り手市場」に惑わされはならないということだ。
 今日の「売り手市場」は、全ての求職者に当てはまるということではない。まして一定の年齢に達しマネジメント職に就いている者にとってはなおさらだ。あくまでも雇用される能力を「保持している者」と「保持していない者」とが厳密な峻別される現実を忘れてはならない。残念ながら「雇用される能力」のない者は、単純な時間労働に規定され、無為な転職を繰り返すことになることは必定である。

 企業組織においてマネジメント業務に携わる管理職は、先ず自らが「どこの企業組織においても通用する能力」を保持しているのか否かを顧みる必要がある。「どこの企業でも通用する能力」とは、突き詰めるならば、企業に「雇われる能力」のことだ。つまり、今現在勤めている企業組織でしか通用しない能力は意味がないということでもある。
 とくにマネジメントに携わる者は日本企業の「三種の神器」と形容された「終身雇用」と「年功序列」が、もはや過去のものとなっている現実を直視することから始めなければならない。「終身雇用」を前提とした時代では、最初に入社した企業で経年による経験則が蓄積され、それが自らの職務遂行能力につながるという意識に安住することができた。もし、管理職層がいまだにこの種の意識に留まっているならば、“過去の幻影につがみつく”愚行に過ぎない。

“最初に入社した企業でしか通用しない能力などは、単なるローカルスキルに過ぎない”ということを直視していなければならない。さもなければ転職はおろか現状の企業内でも早晩不要となり「企業内失業者」と位置づけられるといっても過言ではない。
 何故ならば、“現状に安住している”という烙印を真っ先に押されることになるからだ。また、“現状に安住している”者には、次代を担うはずの若手・新人に対して適切な就労意識を醸成させていく気概も期待できないことになる。従って、外部労働市場で通用する市場価値を日々に磨いていない管理職は、今現在の雇用先から駆逐されていく可能性が高くなっている。

 日本の雇用制度は、“何処でも通用する能力を身につけなければ雇用は保証されない”という過渡期に突入した。まして自分の価値を企業ブランドが高めてくれるわけもない。限られた企業でしか通用しない職務能力などは意味がない。
 マネジメント業務に携わる者にとって「有効求人倍率」など、さしたる意味を持たないという現実を踏まえなければならない。雇用制度が転換する過度期において、相変わらず終身雇用的な発想が抜けきれない管理職は、たちまちふるい落とされてしまうことになる。

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