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週刊Neue Fahne

2017年10月23日号

現場マネジメントの課題 -6- 若手・新人を傍観者意識にさせてはならない

 一般的に企業の創業期は経営者の「朝令暮改」や「臨機応変」のスタイルが常である。しかし、創業期を体感せずに比較的安定期になってから入社してくる若手・新人にとっては、このスタイルが違和感や理不尽と映るのは当然のことである。
 とりわけ、組織構築が成長に追いつかず、マネジメント層の育成がままならなかった企業では、草創期からの古参社員に経験論や根性論が先行しがちであることも確かだ。もっとも、どのような企業組織でも、すべての業務が合理的に展開されているとは限らず、一見すると理不尽に思われる行動規範の下で業務が展開されている場合がある。

 一方で見方を変えるならば「朝令暮改」や「臨機応変」と思われる「不合理性」が、今日の激しい変化スピードの中では成長の原動力でもある。しかし、「不合理性」は安定した企業に慣れ親しんでいる者や安定志向の者、さらには組織的な就労経験のない者にとっては、非常な違和感となる。
 組織的な働き方に不慣れな若手・新人には、企業の目標と自らの成長課題が乖離しているため、企業組織で日々発生する仕事上での「不合理性」に過剰反応する傾向が強くあらわれたりもする。そこで若手・新人育成の基本は日常業務で発生する「不合理性」に対して、ストレス耐性をつけさせていくことが重要になってくる。もちろん、ここでいう「ストレス耐性」とは、若手・新人に対して理不尽な事柄に耐え忍ぶ「根性を磨け」などということではない。

 若手・新人に対して企業組織で働くということは、あくまでも「仕事は与えられるものではない」という主体的な意味づけと自らの取り組み姿勢という根源的な事柄について説いていく必要がある。さもなければ、仕事は「苦役」であり強制された「やらされ仕事」という意識から終生逃れられないことになる。
 若手・新人の育成にあたって安易に「世代間の意識格差」を持ち込むのは無意味である。確かに最近の新人には「職に就く」すなわち「就職」ということと「就社」を同一視する傾向が強い。そこで、企業が若手・新人に施す育成のポイントは、“企業における仕事を自分の人生においてどのように位置づけていくか”ということを常に考える習慣をづけが必要だ。これは新人が自分自身で企業での仕事を通して「どのようになりたいのか」「何を得たいのか」を明確に語れるように導いていくことである。先ずはいま与えられている仕事=課題から眼をそらさず(=逃げず)に取り組む姿勢を醸成させる必要がある。

 若手・新人は「自分に与えられている日常の業務を繰り返していればよい」という意識に陥りがちなものだ。確かに若手・新人には与えられている権限も少なく、こうした意識に陥るのは当然であり、指導する側も「何はともあれ、いわれた事をしっかりと実践してくれればよい」との思いが強く働くことになる。しかし、「日常の業務を繰り返し」を何時までも放置してしまえば、悪くすると自らの主体的行動を顧みない単純な「万年不満分子」となる。結果的に会社組織の活力を奪い、内部から腐敗させていく元凶になっていく危険性もある。何よりも本人のためにはならない。
 そこで、若手・新人育成では常に「当事者意識」を如何に持たせていくのかという課題が重要になる。利益組織体たる企業では一人の傍観者意識が、組織全体の発展の妨げになる。若手・新人には「どうやったらできるか」という問題設定と視点を磨かせ、「当事者意識」が結果的に自らの成長につながることを現場マネジメントが率先して示していくことが重要となる。

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