人材育成が社員と会社組織の協働を創りだす

HOME >週刊Neue Fahne(新人に教えるビジネスの常識−6−「日常の職場実践でビジネスマナーを醸成する」)

お問い合わせはこちらから 03-5297-1866

お問い合わせフォーム

株式会社ノイエ・ファーネ

東京都千代田区神田錦町1-4-8
ブロケードビル5階B

TEL.03-6260-5700 FAX.03-6260-5701

週刊Neue Fahne

2017年04月10日号

新人に教えるビジネスの常識−6−「日常の職場実践でビジネスマナーを醸成する」

 ビジネスマナーの中でもとりわけ新人に教えなければならない仕事の第一歩は挨拶である。礼儀をわきまえた言動が社内外の人、とりわけお客様との良好な関係をスタートさせてくれる。
 これを勘違いし、時と場所を心得ない挨拶をしがちな社員が見受けられる。相手が忙しくしているのも構わずに挨拶や口上ばかりに時間を掛け、いらだたせてしまうことに気付かない行動。あるいは、相手のいらだちに気付いても、いらだつ原因が自分の態度にあることが分からない無頓着さ等々だ。ビジネスでは相手の状態に合わせた挨拶や礼儀でなければ、逆にマイナスになる。

 挨拶や礼儀という行為は敬語も含めて、相手にはらう敬意や尊重の気持ちを形式で表現したものである。つまり、相手を慮るという行為である。相手の状況を察することなく、馬鹿ていねいな挨拶や過剰な礼儀作法は、相手を不愉快な気分にさせる。新入社員に対するマナー研修はあくまでも基本を教えるため、「形」が重視されることになる。
 しかし、実際の業務行動で求められるのは状況判断である。研修で教わった行為が必ずしも実際と合致するとは限らない。教わった通りに“ともかく丁寧にやっておこう”という形式的な行動は、相手に見透かされて慇懃無礼と受け取られる場合もある。挨拶や礼儀の形式ばかりにとらわれていると、良好な人間関係はいつまで経っても築けない。

 ところで、最近とみに「敬語や謙譲語を使えない者が増えている」「日本語が乱れてきている」と盛んにいわれている。目上の人に向かって、平然と「友達言葉」や「短縮言葉」などが飛び交っているのも現実だ。言葉づかいで年配者が眉をひそめるケースが増している。そのため、敬語や正しい日本語の類の書籍も多く出版されている。もちろん敬語をしっかり使いこなす訓練は大切だ。
 しかし、言葉づかいだけがビジネスマナーではない。ビジネスマナーとは挨拶や礼儀も含めた態度行動の全体であり、相手を慮る行動姿勢であると捉えなければにならない。つまり、相手に対してどのような姿勢で臨むのかという観点が重要となる。たとえば、仕事の指示や説明を受けるときには、「はい」という言葉を発し、相手の話を聞いていますという姿勢がとれているのか否かも重要になる。単純な「はい」という返事一つであっても「あなたの呼びかけをきちんと聞いています(受けとめています)」という合図であり、コミュニケーションの前提となる。

 ビジネスマナーを身に着けるとは、状況を顧みることなく使い慣れていない「敬語」や「作法」を無理して使うことではない。あくまでも日常の業務行動の過程で「相手を慮る」という姿勢を磨くことが必要だ。たとえば、上席者からの呼びかけに対する返事の仕方についても本来は、「はい」という一言と、呼んでいる人のところへ足を運ぶ行為とのセットで一つの返事となる。一方で上席者から名前を呼ばれて腰掛けたままや首や視線だけ向けて「なんですか」と答えているような職場がある。
 こうした職場では、全般的に職場内で「あなたの呼びかけをきちんと聞いています(受けとめています)」という雰囲気が形成されていないことになる。話の受け手が、相手の話を聞こうという姿勢・構えを見せなければ、返事をしたことにはならない。明るく元気な「はい」の返事は、社内に限らずお客様や取引先の社員とも良好な人間関係をつくるコミュニケーションづくりの大前提でもある。ビジネスマナーとは、使い慣れていない「敬語」を無理して使うことではなく、相手を慮る日常の業務行動を通して形成されるものだ。

一覧へ

ページのトップ