2016年04月11日号
一昔前までの若手指導では「先ず指示されたことを、指示されたようにできる部下」を育成することからスタートした。しかし、指導育成する側がこの手法のみを繰り返しているならば、いつしか若手のなかに“指示待ち”が蔓延することになる。
これは、今日の若手社員が学生時代からあまりにも「教えられること」「指示されること」に慣れてしまっているためだ。今日の複雑で混沌とし変化の激しい時代に指示待ち状態の常態化は、本人たちの成長がストップすることを意味している。同時に企業にはこの種の人材が飽和状態になり組織の成長もストップする。
若手に限らず今日の企業人には、自分の仕事のやり方を見直し、より良い方法に変更していく力が必要だ。日々の仕事を常に改善して行く思考方法が必須条件になっている。企業が変化に対応できるのは、とりもなおさず“変化に対応できる社員”の存在にかかっている。このため自らの頭で考えて常に自らの業務を見直し、新たな状況に対応する行動がとれる社員の存在が必要となる。一言でいえば問題点を見つけ出しながら解決することができる“改善意欲のある社員”の育成が企業の帰趨を決するということだ。
一方で育成する側の管理職にこの意欲が欠如しているならば、例え“原石”として優秀さを備えている若であっても伸びることはない。むしろ、管理職のやり方を単に踏襲することで満足する安易な傾向に陥ることになる。さらにいえば育成する側の管理職を決して乗り越えてはくれない。管理職が行う部下の指導・育成とは“如何にして自分を超えていく部下を一人でも多く輩出する”ことができるかということだ。
今日、多くの企業において、管理職による業務改善の指導・推進が充分になされているとは言い難い。これは改善を指導すべき管理職自身が、“改善”の必要性を的確に理解せずに“現状維持”に安寧を求めているからだ。従って、自分を超える部下など想像することもしない。そこで、管理職は部下指導において改めて日常業務における“改善”を次の3点で再確認する必要がある。
1.WHAT:改善とは何か、改善の定義・意味
2.WHY :何のための、誰のための改善か
3.HOW :どのようにすれば、部下に業務の改善を指導し、組織全体に波及させていくことができるのか
“改善”は瞬時に変化があらわれるわけでもなく、徐々に組織にしみわたり体質を強くしていくものだ。この体質の強化がなければイノベーションは生まれない。イノベーションとは一瞬の閃きなどや単なる革新的技術ではない。イノベーションには生産手段や人的資源を従来の因習に囚われることなく、「新しい結合」を創り出す視点が備わっていなければならない。
つまり、企業組織の中に日常業務を常に“改善”していく土壌が形成されていなければならない。
管理職が自分の職場で改善を指導するためには、まず自分自身が「部下に改善を指導するのは、上司である自分の役割だ」と認識し、自分自身が業務改善を行う発想を持ち続けなければならない。
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