2016年01月18日号
必要がないにもかかわらずダラダラと職場に残って残業と称る者がいる。しかし、往々にしてダラダラ残業の原因はマネジメントの側にある場合が多い。なかには「自分が若い時には残業を厭わず働いていた」という思い込みが強く、部下の残業を“よく働いている”と錯覚している管理職もいる。
こうした意識は今すぐに払拭しなければならない。同時にダラダラ残業を放置するならば職場の活気を失うことにもなる。ダラダラ残業は職場マネジメントが弛緩しているあらわれでもある。
もちろん、求められる納期に間に合わず集中して業務に取り組まなければならない場合もある。このため、一概に残業のすべてを否定することはできない。管理職は必要に応じて部下に対して業務命令を発して残業を指示しなければならない場合もある。マネジメントの側がこうした適時の指示を怠ると職場秩序は一気に崩壊する場合もある。
しかし、あくまでも所定労働時間内に業務を終了することが基本だ。従って、管理職は職場での徹底的な時間管理を実践しなければならない。残業はあくまでも業務指示のもとで行わせなければならない。
時間管理とはスケジュール管理を含むものであり、部下一人ひとりの現時点での職務能力の把握が不可欠となる。とりわけ、マネジメントで必要なのは職務能力が劣る部下とパフォーマンスの高い部下との見極めだ。残業削減は職場での人事・労務マネジメントが適切に機能しているか否かのバロメーターでもある。
マネジメントが効いていない職場においてはムダな残業が常態化することになる。人手不足であればこそ時間管理を徹底的に実施した業務効率の向上が重要となり、管理職は先ず自らの日常業務行動の足元を見直す必要がある。自らも含めた職場の業務スタイルの再確認ということだ。
管理職は職務能力が劣っている部下に対して能力以上の業務を振る愚行を犯してはならない。職務能力を超えた事柄に対して部下は、往々にして自らの能力を顧みることなくサービス残業に走りがちになる。そもそも基本能力が備わっていなければ、時間の経過がパフォーマンスにつながるはずもない。また、業務能力は段取りの悪さにも比例する。このため無駄な時間浪費が繰り返されることになる。
もちろん、部下が保持している現在の業務能力以下でこなせる仕事を与え続けることも愚行である。自らが単純な経験の積み重ねで達成できる業務を繰り返している者に成長はない。
そこで、管理職は一人ひとりの部下の業務能力の成長度合い測りながら適時適切な業務を与えていく必要がある。このように考えるならば職場の残業削減は、単に労働基準法による規制に対応するという次元ではなく、部下育成というマネジメント課題ということになる。
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