2015年06月22日号
あらゆる局面で“これまで通用してきた事柄”が通用しなくなって久しい。同時に、これまで以上に“スピード感”が求められる。そこで固定概念からの脱却が必要になるが、人間には非常に難しいものだ。特に一定の成功体験がある者とるとなおさら固定観念からの脱却に苦労をするものだ。
ひとは変化を好まない生き物だとも言われている。いや、変化を恐れるものだ。とりわけ、いまのやり方で何とか及第点をとっていると、このやり方でいいと思い込んでしまうものだ。
社会やビジネス環境に順応することの重要性が強調されていても、個々人にとっては新しい方法に挑戦するにはエネルギーが必要となる。このため、ひとはあらゆる「言い訳」を用いて「これまでのやり方」を肯定しようとする。
頭の中では「世の中の変化に応じて、変わりつづけなければならない」ことを理解できる。しかし、実際の行動にはなかなか結びつかない。行動に結びつかないのは、“いま、取り組まなければならないこと”が見えていないからでもある。このように考えれば環境変化に対応するとは、「先を読む」「先を予測する」ことと同じことでもある。
もちろん、誰しも「未来を予言」することができるわけではない。しかし、過去の傾向や先人の成功・失敗事例から「先を読む」ことはできる。先を読んで仕事を進めれば、これがスピード感にもつながる。
「未来予測」はできなくとも日常業務や取引先の状況などから「仕事上の先読み」はできるものだ。たとえば、リスク管理も同様だ。ビジネスの世界で「想定外」は通用しない。仮に自分が予期せぬことに遭遇した場合には、「自らの不明を恥じなければならない」といことでもある。
つまり、先を読むことは、これまでの自らの働き方や仕事のやり方を見直すことと同意語でなければならない。また、先を読むことは、自らの働き方や仕事のやり方に「効率化」をもたらすことにも繋がる。
仕事というのは、“何が起こるかわからない”ということが大前提だ。それを読むということは、最悪のケースをも想定し、次善の策を常に準備しておくことでもある。余裕を持ったスケジュールを立てることも同じことだ。
先を読むのは、自分の仕事だけではない。部門の仕事、会社の仕事、すべてに「先読み」が必要となる。これは、一般の社員であっても「これからの会社の方向性やビジネス展開」を自ら読んで対処していく姿勢が必要となるということだ。
上司から命じられるままの仕事を粛々と“熟すコト”ことを繰り返していては、先を読むことにはならない。「受け身」の姿勢は先が読めないのではなく、“先を読まない”のと同じことだ。未来は、現在や過去のことと無関係に突然やってくるわけではない。
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