2015年02月23日号
管理職は、何よりも自らが「部下に求める職務要件」を明確に確立する必要がある。同時に求める人材のイメージを自分の言葉で明確に語れなければならない。単に「良い人が欲しい」「優秀な人が欲しい」などを繰り返していても意味がない。自ら必要とする人材イメージを確立していないか、あるいは無自覚な管理職は部下を指導する資格がないと評価されてしまう。
自分なりの人材像を持つことができる管理職は、部下に正しい行動をとらせることができる。また、仮に部下の行う正しくない行動に対する叱責にも迫力が備わってくる。
管理職が部下に求める人材像の基準は“仕事を要求してくる部下”か“いわれたことしかしない部下”のいずれに分類されるかだ。たとえば「このプロジェクトを、私にやらせてください」と自薦する部下は、管理職が求める人材像に合致している。もちろん、自薦をすべて認める必要はない。
管理職が“任せるうえで力量が足りない”と判断すれば、その足りない力量を指摘し補う道筋を示してあげればよい。こうしたやり取りが部下自身の成長につながる。結果として会社組織全体の人材力量の底上げにつながり、“自分で稼げる人材”をつくりだすことになる。
管理職が部下指導で常に意識しなければならないことは、自社への誇りやブランド力を意識させていくということだ。そのためには自社の商品・サービス知識はもちろん、自社が“顧客に与えることができるメリット”を常に考えさせる指導を展開しなければならない。
つまり、部下に対して自社が顧客のみならず社会から「信用されるためには何が必要か」という視点を磨かせるということだ。これがブランド力となる。
ブランド力とは、ある意味で顧客や社会に対する“会社の約束”の度合でもある。自社への誇りやブランド力の意識を持つ者は、自分自身のブランド化を意識することになるものだ。
部下指導で避けて通れないのは、部下への適正な評価だ。上司からの適正な評価は、部下の成長意欲に大きな影響をおよぼす。管理職が“人材育成”で重要な点は、管理職として“部下への評価軸”を明確に持つことだ。
そして、評価実践にあたって管理職が堅持すべき点は“部下同士を比較して評価する”という相対評価をしてはならないということだ。あくまでも評価とは一人ひとりに対する“絶対評価”でなければならない。つまり、部下個人の成長の度合いを、評価の軸に据えることである。
部下の成長度合いとは作業と仕事の違いの理解度とその割合の変化でもある。管理職は常に部下に対して、仕事とは“付加価値を生む”が、作業とは“付加価値を生むための手段”という関係にあることを理解させることだ。
人材育成とは、一面では作業から仕事へと、部下のやることを高めていくことである。部下を仕事意識に目覚めさせ、付加価値を追求するように仕向けていくことが、管理職の重要な役割である。
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