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週刊Neue Fahne

2014年02月24日号

管理職が人事・労務管理を怠ると職場は崩壊する

 人事・労務管理とは採用、勤怠管理、給与・報酬の計算や計画、社員教育・育成をはじめ日常的な福利厚生、あるいは労使関係の調整を意味する広い概念で捉えられる。そのためなのか、一般的に現場マネジメントを担う管理職にとっては、「労務管理は人事部の仕事だろう」という意識を持つ傾向が強い。あるいは人事・労務管理は評価や考課を司る“煙ったい存在”との意識を持っている現場の管理者も多いはずだ。
 一方で単純に人事・労務管理を給与計算や勤怠管理などの定型的な業務と考えてしまう傾向もある。その結果、その部門を丸ごとアントソーシングしてしまうことも可能だ。実際に既に多くの企業はこの種の業務を「アウトソーシング」している。
 人事・労務管理は現場マネジメントとは遠い存在になる傾向もある。しかし、現場の管理職には今後とも人事・労務管理意識がますます強く意識しなければならない時代に入っている。

 その一つのあらわれとして最近の訴訟実態がある。従業員による会社を相手にした裁判などで争われるのは、“会社の安全配慮義務”だ。そして、訴訟ごとになるのは基本的に現場での人事・労務管理対応の無自覚から発生する。
 労働災害事故の発生による訴訟でも、会社は危険を予見し、それを回避する努力がなされていたか否かが大きな争点となる。その際に当然のことながら直接的な現場指導を担うのは現場の管理職であるということを忘れてはならない。
 工場設備などでは当然のことながら、物理的に職場の安全が保たれているのかは大前提となる。しかし、“会社の安全配慮義務”とは、工場等の現場労働環境に限ったことではない。内勤業務や営業従事者に対し、身体的、精神的な健康状態への配慮なども安全配慮義務の範疇となる。この安全配慮義務を直接担うのが、職種に限らず現場マネジメントつまり、管理職の直接的な任務と役割となる。

 そこで、管理職には「会社で発生していることは、全て自らに関わりがあること」との認識をしっかりと自覚することが求められる。現場で発生するあらゆる問題について、「それは人事部の問題だ」などと責任転嫁してはならない。いや、責任転嫁はできないということだ。
 出退勤管理をはじめとする職場の勤怠管理一つとっても現場の管理者の姿勢が問われる。
 たとえば、退職して2年近くも経過してから突然、法外な「未払い残業請求訴訟」を起こされることも最近では珍しくない。
 訴状が届いて押っ取り刀で調べてみたら、実は同僚に「タイムレコーダーの打刻」を依頼して残業時間を誤魔化すことが組織ぐるみで行われていた。しかし、結果として証拠を提示できず和解せざるを得なかった、というケースもある。

 これなどは正に現場管理者が職場の労務管理を怠っている最たる例だ。こうした現場では、必ず出退勤管理が甘くなり、遅刻者に対する対処も甘いはずだ。各種のハラスメントに対する対応も当然、労務管理の一環として意識していなければならない。
 職場での具体的な人事・労務管理の機能不全は、必ず従業員の就労意識低下を招き、結果的に職場を崩壊させていくことに繋がる。

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