2013年11月18日号
OJTは業務知識や業務スキルだけを教えるものではない。管理職は、OJTを仕事の基本となる個々人の態度や姿勢を収斂する「場」であると位置づけなければならない。そのため管理職はOJT担当者に仕事への態度や姿勢に対して研鑽の繰り返しを課さなければならない。もちろん管理職自身も含めてである。
仮に若手・新人社員は一通りの仕事を覚えたとしても、それだけで一人前の企業人になっているわけではない。そこで、OJTを行う際には、事前にOJT対象者に何を教えるべきかを明確にしておくことが重要だ。ただ単に仕事に慣れてもらえばいいと安易に考えてはならない。当然のことながら、一人ひとりのOJT対象者に仕事に慣れてもらうことは大事なことだ。
ところが、企業で行う仕事は一人で完結するものではない。そのため、「仕事の流れを一通り覚えさせればそれでよい」と考えていると組織としての総合力強化にはつながらない。
業務上の知識やスキルを身につけることはもちろん大切なことだが、もっと大切なことがある。それは仕事に取り組む態度や姿勢の確立だ。態度や姿勢が身に付いていなければ、いつまでたっても仕事を任せることができない。そればかりか、OJT対象者を単なる「手なれた作業」の繰り返しに満足する意識に陥れ、将来的な成長の芽を摘いでしまう可能性さえある。
OJTで態度や姿勢を身につけさせることは、会社の業績にも直結するものだ。「仕事さえできれば…」という態度や基本的な仕事への姿勢が曖昧な者とは、ビジネス関係は成立しない。これは対外的な問題だけではなく、企業の組織内部でも同じだ。対人関係能力に劣る者は、他部署との連携などおぼつかない。
管理職はOJTの実施にあたりOJT担当者に対して「対人関係」の基本や仕事への積極的な姿勢を身につけさせることも、OJTの大事な役目であることを教え諭す必要がある。
OJTを通して“態度能力”の育成をはかっていく上で指標も必要になってくる。以下は主に若手・新人社員を対象にして企業人としての“態度能力”育成の課題設定をしていく場合にOJT対象者の姿勢を判断していく着眼点だ。
1. OJT対象者が企業で働く上で最も重視していることは何か
2. OJT対象者が今の仕事を選択した最大の理由は何か。
3. OJT対象者が仕事上で必要な知識や技能をどのように習得してきたか、また、習得しようとしているか。
4. OJT対象者が職場での人間関係(上司・同僚)や日常会話で会社の将来や業務展開について話し合いをしているか。
5. OJT対象者がどのような時に「自分が他者(会社)から必要とされている人材」だと意識してきたか。
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