2013年09月23日号
管理職は毎日の日常業務を回すことだけに汲々としてはならない。また、部下の発言や行動に対して無頓着であってはならない。
さらにいえば、上席の幹部や経営陣に自らの意見を持つことなく表面的に「イエス」を繰り返し、後ろに廻って「不満を述べる」類の面従腹背(二枚舌)や「評論家」然とした態度をとってはならない。こうした管理職の意識と姿勢が会社を潰す元凶となる。
管理職の中には「厳しい規則や、管理することが会社の雰囲気を悪くするのではないか」と危惧する者がいる。こうした管理職は、管理の意味を理解していないか、あるいは部下からの反発を恐れてなのか、何時しか現場の統治不全を放置してしまうものだ。仮に自らが所管する職場での統治に緩みが出ているのであれば、先ずは基本的な職場ルールが貫徹されているか否かを再確認する必要がある。
これは「現在のルールを今以上に厳しくする」という意味ではない。会社組織としての決めごと(ルール)が、しっかりと実行されているか否かの確認である。「ルールを緩やかにしている企業は社員が自主性にあふれて職場の雰囲気が明るい」「ルールの厳しい企業は周囲がギスギスしていて堅苦しい」などという発想は全く誤っている。
適正なルールにのっとり業務展開を行っている企業にはトラブルが少なく、労務管理上も真っ当に機能し、無意味なトラブルも発生しないものだ。
管理職は今一度、職場での組織員相互の日常的マナー、時間厳守に始まる勤怠を含めて全般的な業務上の状況把握と必要な場合には管理面での見直しをしっかりチェックしなければならない。
その際に最も重要なのが管理職本人の意識変革だ。管理職は「いま目の前の仕事」だけに目を奪われてはならない。今日1日のことだけ、今週のことだけを考えて仕事をしているようでは、単に作業の繰り返しにしか過ぎないということだ。
こうした管理職は自己のスケジュール管理もできていないことになる。そこで、自分自身で「中長期の視点を持って仕事に臨んでいるか」という検証をすることが必要だ。
また、管理職は部下にも経営陣に対しても自らの業務範疇に留まらず広く情報収集を行い、それを概念化さて企業の方向性に対する自らの意見と提案を展開していく努力が求められる。
会社と自宅を往復しているだけで、新聞も読まず、テレビニュースも見ないようでは世の中の趨勢すら認知できない。あまつさえ業界紙や専門誌、時には専門書や評判になっている小説さえ読まないようでは、報告書ひとつを提出することさえできないものだ。
管理職に必要なのは自らの職務行動において、常に真摯にして自立(独立心)と自律(セルフコントロール)のある主体的な仕事スタイルの確立だ。職場管理はテクニックや手法を駆使することでもない。この自らの仕事スタイルがない管理職の下では、絶対に人は育ってこない。
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