2013年08月12日号
「報告・連絡・相談」はどのような組織においても基本中の基本である。基本であるだけに「報告・連絡・相談」の優劣が組織活動の活性化に反映される。
よく「悪い報告こそ真っ先に」「良い報告は後でもかまわない」と表現されるが、そもそも「報告」それ自体を疎かにしている組織は、組織の体をなしていないといっても過言ではない。「報告・連絡・相談」は組織の基本であると同時に組織文化でもある。
現実問題として報告書を作成するため、何時間も時間を費やすなどという愚行を繰り返す部下もいる。また、口頭で説明を求めても「言語明瞭で意味不明」な回答しか出来ない部下もいる。こうした部下がいると、管理職として仕事がまっとうできない。また、会社業務の全般に支障が出てしまうため、管理職自身のストレスにもなる。
こうした現状を踏まえて、なかには部下からの「報告・連絡・相談」のなさに業を煮やし、ついつい諦めの境地になる管理職もいる。こうした管理職は本来部下の仕事として完結させなければならない仕事も自分でやり直したりする傾向もある。
しかし、これは「報告・連絡・相談」の欠如を生む新たな悪循環として会社組織の文化となってしまう危険性がある。なぜなら、部下の側に「報告・連絡・相談」をしなくとも“それなりに会社組織は回る”という意識を形成させてしまうからだ。
「報告・連絡・相談」は個々人にとっても組織にとっても習慣である。いつまでも、部下による「報告・連絡・相談」の欠如を見過ごし、放置しておくと習慣が身につかない社員が会社に増殖し、新たに入社してくる新人・中途社員もこの悪癖に自然と染まっていく。
単に個々の社員の「報告・連絡・相談」の欠如であるならば、当該の社員に対しての制裁措置で済む。しかし、「報告・連絡・相談」の欠如が会社の文化として形成されてしまうと実に厄介なこととなり、修正するためには相当のエネルギーが必要となる。そして何時しか会社組織全体が「使えない人材」の集団に転化し、業務、業績の改善や効率化の妨げになる。
「法令遵守」は企業の組織活動においてますます重要となり、さまざまな取り組みもなされているはずである。一方で各種の企業不祥事の原因もその端緒は「報告・連絡・相談」に起因しているのが殆どでることを忘れてはならない。管理職は先頭に立って「報告・連絡・相談」を怠れば、会社組織の存立基盤を危うくさせるという点をしつこく部下に説いて回る必要がある。
管理職には「報告・連絡・相談」の重要性とそれぞれのタイミングやポイントなどについて、個々人はもとより部署全体に「一日に何度でも繰り返す」という執着が必要だ。
何時まで経っても自らの部署で「報告・連絡・相談」が徹底化されないならば、それは管理職の能力上の問題として捉えられることになることも忘れてはならない。
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