2013年07月29日号
いまだに多くの職場で「自分の若いころは…」と、自慢げに若手社員を前にして過去の自慢話をしている中高年がいる。周囲からは恐らく顰蹙を買うだろうが、同世代の集りで若手社員の素行を「酒の肴」しているのであればまだ許されるかもしれない。
しかし、職場で「自分の若いころは…」などといって若手社員に説教でもしようものなら、たちまちのうちに鼻つまみ者になることは必定だ。何故なら「過去を捨てることが出来ない可哀そうな人」と映るからだ。では「過去を捨てる」とは、どのような意味か。それは、変革の推進者になるということだ。そして過去を捨てることなしには、明日を創ることはできない。
もちろん過去の成果に自負心を持たなければならない。しかし、それが高じてしまうと「過去にしがみつく」危険性もある。人間は過去の成功体験から自由になることは難しい。
管理職は常に「過去の栄光の上に明日は存在しない」と肝に銘じておかなければならない。企業組織で管理職あるいはリーダーと呼ばれる立場の者は、常に変革の推進者として、新しい機会に着目し、成果を創造しなければならない職務を果たさなければならない。
一般論だが会社組織において、呼称はどうであれ幹部社員となる人びとは、過去において当該組織の中でこれまでに成果をあげてきた人であることは間違いない。しかし、それゆえに、自らの過去の成功体験から自由になることも非常に難しいのも事実だ。
往々にして「過去を捨てることが出来ない者」は、過去を引きずり昔の価値観でしか物事を判断できなくなる。そのため企業組織では年長者が、何時の時代も犬の遠吠えのように「若者批判」で溜飲を下げたつもりに陥るものだ。もちろん昨今の若手社員の素行に対して「無批判」である必要はない。正しくないと思われる行動に対しては、自信を持って正していく必要がある。
会社組織において「過去を捨てる」とは、もはや成果をあげられなくなり、貢献できなくなったものに投入している資源を引き上げることである。
過去を捨てるからこそ、明日を創ることができる。引き上げた資源を、新しい成長のチャンスに投入できるからである。もちろん、なんでもむやみやたらに過去を捨てるのではなく、これからに備えて会社のビジョン、戦略、目標に照らして、何を、どのように捨てるかどうかを決定することが重要だ。そしてこの具体的実行の役割を経営の立場に立って、遂行するのが管理職である。
管理職とは突き詰めるならば「他者に対して如何にして自分の影響を発揮するか」という一点にかかっていることも忘れてはならない。
過去の栄光の上に明日はない。それは個人も会社も同じである。管理職は変革の推進者として、新しい機会に着目し、成果を創造しなければならない。
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