2011年02月21日号
2011年の就職内定率が発表されたが、この数字は実に怪しい。就職支援に携わっている人びとの感想では、実際には「50%程度の内定率ではないか・・」とさえいわれている。かくも低い内定率を単に景気低迷からくる企業の求人意欲の低下にだけ求めることはできないのではないだろうか。
つまり、多くの就職活動を行っている学生は、「働く」ということと「就職」ということを同一視するあまり、会社選びにだけ狂奔しているのではないだろうか。
ところで、日本の経済成長を支える原動力となってきたのは、企業に働く一人ひとりの「勤勉さ」の賜物であるといわれてきたのは事実だ。しかし、これまで信じられてきたこの「勤勉さ」が怪しくなっている。タワーズペリン社が世界16カ国8.5万人の従業員を対象に実施した調査(2006年)では、日本人の働く意欲は世界最低であった。さらに「仕事に前向き」と答えた社員はなんとわずか2%。逆に「イヤイヤ働いている」と答えた社員は40%で、インドについで2番目だった。
さらに、ギャラップ調査でも「仕事に対して非常に高い熱意を感じている」という日本人は9%にすぎなかったという結果だった。
こうした数字を見ると、今は一生懸命に内定確保や就職探しに走っている学生の行く末が心配になってくる。
ただし、仕事に対する考え方について安易に「世代間」の問題を持ち込むのは意味のあることではない。いま考えていかなければならないのは、自分の仕事を自分の人生においてどのように位置づけていくかという原点に立ち返ることだ。
さらにいえば、自分自身で「何がしたいか」ということを日々問いかけていくことが重要だ。
つまり、現状の仕事を通して自分は「何になりたか」「何を得たいか」を自分自身で明確に語れるようにするということだ。無闇に流行のスキルアップや技法に飛びつく必要はない。先ずはいま与えられている仕事=課題から眼をそらさずに取り組むことだ。
P.F.ドラッカーは仕事について次のようにいっている。
「最初の仕事はくじ引きである。最初から適した仕事につく確率は高くない。しかも、得るべきところを知り、向かいたい仕事に移れるようになるには数年を要する」と。
仕事とは外部からの動機付けに頼らず、自分自身で立てた目標を一つひとつ達成させることで得られる成果を自分に蓄積していくことだ。この過程が個人に内在している動機=やる気を活性化させる。
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