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週刊Neue Fahne

2012年09月10日号

変化対応で「守旧意識」を克服する

 誰しも、新しい事、これまでに手掛けたことのない仕事に着手するのは億劫なものだ。慣れ親しんだ事柄を踏襲していることに安心を覚えるからだ。同時に新たな事柄には成功体験が蓄積されていないため不安にさいなまれるものだ。「今の状況が変わってしまうかもしれない」という感情が先行するものだ。
 そこで、新しいことを手掛ける前に「できなかった場合」のことを想定し、新しい環境に馴染む苦労をするよりも、同じ場所にとどまり、いままで通りの慣れた事に従事していたいと、守旧意識に陥りがちだ。守旧意識に陥るのは決して年配者だけではない。

 就職活動をしている学生たちにもこうした意識が蔓延っている。ある意味で日本社会が閉塞し始めた時に幼年・少年期を育った者達にとっては、当然なことであるのかもしれない。
 しかし、就職活動中の学生たちが思い描く、企業や職種を選択する基準である「安定している会社」「転勤のない会社」「外回りのない事務職」「転勤のない一般職の職種」「自宅から通勤可能な会社」に対し、何と甘いことをいっていると嗤ってばかりはいられない。こうした学生たちの心理は、いまいま企業で働いている者達にも蔓延しているからだ。

 会社は業績が芳しくない局面に至った場合に生き残りと業績回復に向けて様々な手段を講じる。たとえば、これまでの営業方法に問題はないか。過去の顧客の傾向を分析しながら、顧客のニーズに沿った商品・サービスの提供をしているのだろうか。競合他社はどのような手段を取っているのだろうか。…という具合だ。 こうした業績回復に向けた行動に対して、会社の構成員たる一人ひとりが「それは経営の問題だ」と我関せずの姿勢を取ることがでるであろうか。会社の努力をしり目に、同じことだけを繰り返すばかりの社員がいたならば、会社全体として環境変化に対応できない。
 個人としていくら「変わりたくなくはない」と思っても、環境変化という状況に対応できなければ存続が危ぶまれるのである。

 世の中は目まぐるしく変化し、進歩している。昨日までごく普通に通用していたルールが、今日から一新される。そんなことが、日常茶飯事に起っている。自分だけがこうした「変化」に影響されずに生きていたい、などと思うのは無理なことだ。まして、会社での仕事に従事する以上、常に新たな対応、新たな知識の習得が不可欠となっている。今までの作業工程をもう一度見直してみる。別の方法はないか。新しい技術に置き換えられないか…と検討を加える。
 つまり、過去の経験則、これまでの蓄積を今日の情況に合わせて批判的に摂取しながら工夫をしていくということだ。自らの経験に限らず、過去の経緯をも踏まえ、新しい知識と融合させる。そのためには広い見識を磨くための常に学習を欠かさないことだ。こうした変化に挑む姿勢が自分自身の糧となっていく。

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