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週刊Neue Fahne

2026年03月23日号

中小・中堅企業に内包する管理職人材の課題-8-明確にすべきは「自らの役割認知」

 仕事の醍醐味とは、究極的には「自分の仕事を自分でコントロールできている」という実感にある。自ら目標を描き、優先順位を定め、試行錯誤しながら成果へとたどり着く。この“自己管理”のプロセスこそが、働く面白さの源泉だ。しかし、私たちの職場では「忙しくて時間がない」という声が絶えない。
  もちろん、物理的な業務量が増える時期もある。だが、その言葉の裏側には、量だけでは説明できない問題が潜んでいる。目的が曖昧なままタスクに追われ、優先順位をつけずに場当たり的に作業を進める――そんな状態では、PDCAを回す余裕など生まれない。忙しさの正体を見誤ってはならない。

  自らハンドルを握ることを手放した働き方は、仕事を単なる「作業」へと変質させ、働く面白さを奪ってしまう。業務に慣れることは効率面でプラスだが、そこには「今まで通り」に安住してしまう落とし穴がある。変化を避け、前例の範囲内でしか考えなくなる――いわゆる“ぶら下がり意識”、つまり自ら考えることをやめ、組織に依存する姿勢だ。
  さらに、積み重ねた経験が「思い込み」に変わる危険もある。かつて通用した“勘・経験・度胸”は、激しい環境変化の前では通用しない。過去の成功体験は宝物だが、それが未来の勝利を保証するわけではない。居心地の良さに甘んじているうちに外部環境は確実に変化し、気づけば組織の競争力が大きく低下している――これは決して他人事ではない。

  管理職はこの停滞をどう打破すべきか。ここで一度、自らの役割を問い直す必要がある。管理職が“直接的に”管理すべきは、人ではなく「環境」である。部下の行動を細かく統制する組織では、社員は「怒られないこと」を最優先に動くようになり、主体性や創意工夫は生まれない。人は監視される環境では、責任よりも無難さを選び、萎縮してしまうからだ。
健康状態や労働時間の把握は不可欠だ。しかしそれは統制のためではなく、プロとして安心して働ける土壌を守るための管理である。本来、管理職が整えるべきは、社員が自走できる職場環境だ。
・仕事の「目的」や「意義」が明確に示されているか
・過度な根性に頼らず成果が出る「仕組み」があるか
・互いに助け合い、新しいことに挑戦できる空気があるか
こうした環境が整えば、人は外から言われずとも自ら考え、動き出す。

 効率を追求し、仕事を細かく分業して歯車のように働かせるのは、一見合理的に見える。しかし、それでは「これは自分が成し遂げた仕事だ」という当事者意識は育たない。管理職は、あえて一人の社員に複数の工程を任せ、仕事の全体像を見せるといった“仕事のデザイン”にも目を向けるべきだ。これもまた、環境整備という重要なマネジメントである。
 管理職の役割は、部下を思い通りに操作することではない。部下が「自分の力で仕事を動かしている」という手応えを得られる舞台を整えることにある。役割認知を「監視者」から「環境のデザイナー」へとアップデートしたとき、組織も個人も次の成長ステージへの扉を開くことができる。

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