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週刊Neue Fahne

2023年06月19日号

マネジメント行動の再検証-6-企業組織を瓦解させる既得権発想

ヒトは自らが育ってきた環境に規定されてしまうものだ。これは単に家庭環境にだけいえることでしない。学校を卒業し企業人、組織人として働き始めたならば、最初に属した組織環境にどうしても影響を受けるものだ。つまり、見聞きしたものを“真似”たり“共感”したりしながら知恵が伝達されノウハウを共有したりするからである。
  よく「最初の職場での体験が大きく左右する」であるとか、「最初に指導された上司の善し悪しで、決まってしまう」と、いわれるのはこのためだ。特に一旦身に就いてしまった悪い体質やクセを払拭していくのはなかなか難しいものだ。

  企業組織にも同じことがいえる。創業まもない時期であれば、組織全体が色々と思考錯誤を繰り返していくことになる。組織体制も未分化で自分の行う業務範囲の変化や新しい仕事内容が増えることが日常と受け止められる。これが率先垂範や部門間の風通しの良さなどの「企業文化」として長年にわたり継承されるならば問題はない。
  創業から時を経て業績が向上してくると当然ながら組織も拡大する。つまり、従業員も増加し業務部門の細分化も始まる。するといつしか、一人ひとりの従業員が担当する業務内容も固定化しはじめる。こうした経緯は正に企業組織の発展として受け止められる。なぜなら部門の確立や一人ひとりの担当部署が果たす役割の明確化は、組織体として効率化されてきたと受け止めるからだ。しかし、ここに落とし穴もある。

  組織拡大に伴う部門の増加により、部門や担当部署の業務領域を明確した組織としての効率化(分業化)が求められる。それに伴い組織全体に階層化も生まれてくる。すると何時しか、それぞれの部門で自らの領域を守るという意識が芽生えてくる。同時に意思決定の階層化も生まれてくる。一人ひとりの従業員にしてみれば、与えられた自部門や部署に長く従事すればするほど、愛着と同時にそれぞれの意識の中に「既得権意識」が生まれてくる。
  企業組織内の「既得権意識」は、部門・部署、あるいは個人に蓄積されてしまうものだ。これは発展過程で効率化を意図して形成された組織分岐の逆作用のあらわれでもある。たとえば、歴史の長い企業組織には往々にして、どう考えても非効率な作業や誰が始めたのかは全く不明だが、なぜか誰もが踏襲している行事などかある。こうしたことを改革・改善しようとすると、なぜか何処からともなく圧力がかかり、改革の動きが潰されてしまことが起こる。

  組織改革の動きに対して明確な反対が表明され、公明正大な議論が沸き起こるのであれば、組織体としては活性化しているので問題はない。しかし、会議体の場で喧々諤々の議論がなされることなく、どこで、誰が発言したのかが不明なことが、まことしやかに暗黙の了解として「噂話」のように広がり、改革の動きが断ち切れることが起こる。こうした段階に至るならば、組織体はレームダック状態となる。
  企業組織がレームダックに陥るのは、組織を構成する一人ひとりの「これまでと同じでありたい」という安住意識と既得権が混じり合うからだ。組織において「これまでと同じ」ことを繰り返すことは、非常に“楽な行為”である。自らの「既得権を守りたい」という思いも“楽でありたい”との思いのあらわれでもある。こうした意識は劇的な環境変化に対応できなく絶滅した恐竜と同じ道が待っている。内部環境に安住し“楽な路”に安住するのではなく、時には自らが従来からの「組織的な悪しき因襲」をぶち壊すという気概ある姿勢が必要だ。

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