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週刊Neue Fahne

2022年11月21日号

現場マネジメントが担う部下育成課題 -10- “経営者の代行”という気概

これまでいわゆる先進国はサービスの経済化によって成長を維持してきた。日本もこの例外ではなく流通、飲食、情報通信、金融、運輸等の様々な業種で構成されるサービス産業(第3次産業)が経済を牽引してきた。しかし、コロナパンデミックは皮肉にもこのサービス産業の多くを直撃するとともに分岐をもたらすことになった。
  こうした分岐は今後ともますます加速され日本の産業構造を転換させていくことになるだろう。結果的にコロナパンデミックは過去30年間にわたり日本社会に求められながら、遅々として進んでいなかった様々な変化と変革を強制的に加速させて、従来の産業構造を転換さていく契機となっている。

  こうした産業構造の転換期にあっては、一人ひとりの仕事のやり方が否応なく問われることになる。同時に仕事のさせ方も大きく変化することになる。一人ひとりの従業員が経営陣の指揮の下で、自分に与えられた業務を忠実に実行してさえいれば、企業がそれなりに発展していくとい牧歌的な時代はとうの昔に過ぎ去った。この種の発想は日本社会全体のパイが拡大していた「古き良き時代」への憧憬に過ぎない。企業内での働き方や仕事のやり方では、全ての職位・職階に関わらず“自分自身が経営者である”という意識が必要となる。
  自分が文字通り“経営に参画している”という意識で日常の業務を遂行しなければならないということだ。例え新入社員であろうとも「自分は経営者ではないから…」であるとか「幹部社員ではないから…」という意識にとどまっていたならば、自らの存在自体を否定してしまうことにつながる。仮に経営トップが優れた資質を持っていたとしても、全てを一人で行なえるのであれば、企業という組織を必要としない。企業が組織体として構成されるのは、共通の目的を持った者が集っているからである。この目的に向かっての協働において職位・職階は副次的な問題に過ぎない。

  経営陣の能力も組織に属する一人ひとりのバックアップがあって、初めて十分に発揮することができる。一人ひとりの従業員が「経営トップの不得意分野を補佐しているのは自分だ」という意識で業務に臨む姿勢が必要となる。こうした組織は逆境にも強い組織ということだ。市場環境の変化に対して大所高所からの判断が迫られる経営トップは、個々の部門や部署など組織の細部で発生している問題までも正確に見通すことは難しい。
  そこで自分自身の立場で把握していることの丹念な説明や分析が経営判断に必ず役立つものだ。とりわけ管理職層にとっては、信念のある発言や行動が企業組織の帰趨を決するという気概が必要となる。職務におけるこうした行為や行動が自らの働きや仕事の質を決定することになる。

  企業組織は市場や環境の変化に対応していく「生き物」である。それぞれの企業においてもかつての成長部門が衰退し、新たな成長部門が組織を牽引していくという繰り返しの連続だ。こうした企業組織の盛衰を担うのは、一人ひとりの自覚した働き方にかかっている。
  これからの企業組織での働き方では、「共同経営者」という意識や姿勢が不可欠だ。ここでいう「共同経営者」という意味は、資本関係という意味ではない。あくまで意識性の問題である。企業組織における働きでは、例え従業員であろうとも常に経営トップの能力を補うという役割と同時に“独立した一人の企業人”としての感覚で自社の業務と自分の仕事内容を精査していくことが必要となる。自覚と責任に裏打ちされた自らの日常業務行動は当然である。同時に経営感覚を不断に共有していくという、一人ひとりの自覚ある働き方が企業組織の礎となる。

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