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週刊Neue Fahne

2022年03月07日号

己の働き方を再考察 −8− 既存パラダイムから自らの解放

グローバリゼーションとは、地球規模で複数の資本、情報、人の交流や移動が行われる現象だ。単に「国際化」とは異なりヒト・モノ・カネの流動性が高まり、国境線を意識しない世界と解されてきた。つまり、全世界が事実上の単一市場化することにより国境を越えてサプライチェーンが拡大し、世界的に開発規模、生産規模、販売規模が競争力の源泉となるということであった。
  しかし、2022年2月以降ロシアによるウクライナ全面侵攻によって世界が目撃しているのは、1991年以降のいわゆるグローバリズムが政治経済的な意味においての終焉過程という残念な現実ではないか。さらには第2次大戦後に構築された世界秩序の瓦解であるかもしれない。

  既に世の中が“不安定で不確実、かつ複雑にして曖昧模糊で混沌とした状況である”という「VUCA(ブーカ)の時代」に入って久しい。世の中の環境変化においては「社会環境の変化スピードが会社の変化スピードを上回り、個人の変化スピードは、会社の変化スピードよりもはるかに劣る」ものだ。個人も組織もこの変化スピードに“立ちすくむ”ことはできない。“立ちすくむ”ことは後退と退化を意味することになる。
  とりわけ世界情勢の変化スピードは必ず日本の政治社会状況に変化をもたらし、個別企業の方向性に影響を与えざるを得ない。当然ながら企業で働く一人ひとりにも従来姿勢からの自覚的な変化が求められてくる。この変化スピードへの対応を怠れば“取り残される”ということを自覚して、客観的視点と柔軟さをもって物事を見なければならない。

  仕事においても同様である。仕事をあたかも“「日課」のように定期的に行う同じ業務” (ルーチン業務)としてこなしているだけでは、仕事を取り巻く変化スピードに対応できない。ルーチン業務のみに終始しているならば「失われる意識」があることを忘れてはならない。「失われる意識」とは、簡単にいえば“既存の枠組み(パラダイム)は変わるものである”という視点に基づき、ビジネス環境の変化に対応しながら「新しいことにチャレンジしていく」というポジティブな意識である。
  パラダイムは得てして「思い込み」に転嫁するものである。「思い込み」は人間の思考を止める罠である。罠にはまらないためには、“これまでの「競争や事業のルール」が変わり、今までのやり方が通用しなくなる”という時代認識に立つことが必要である。働く一人ひとりには、ビジネスを取り巻く環境変化に対して常に自分自身のものの見方・考え方を支配してきた“既存の枠組み”に浸かるという認識から自分自身を解き放つ勇気が必要となる。

“既存の枠組み”から自らを解放していくためには、先ず自分の経験を批判的に振り返り整理し腹をくくる覚悟が必要である。周囲の声や評価を気にしていては、“既存の枠組み”から脱却することはできない。
  同時にこの転換を他者に依存してはならない。自覚的に行動するという意識の下でパラダイム・シフトする勇気が不可欠となる。自覚的な行動の前提となるのは常に自分の頭で考え変化する物事への感覚を研ぎ澄まし、問題意識を持った取り組み姿勢を堅持することである。この確固たる姿勢に貫かれた行動は、必ず周囲への共感、共鳴を涵養していくことになる。

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