2020年12月21日号
自分が行った仕事の結果に対して「結果オーライ」の姿勢に終始していては、仕事の成果が蓄積されることはない。結果を重視するのは当然だが、与えた仕事の結果がよければそれで良いという姿勢ではあまりにお粗末すぎる。良い結果が生み出されるということは、結果につながる過程で発生する様々な問題を発見して適切に改善を行っているからだ。
往々にして成功した場合には、「良かった」で済ませてしまいがちだ。しかし、実は良い結果が出た場合にも「なぜ今回はうまくいったか」を検証していくことが、「成功体験」の蓄積につながっていく。つまり、「結果」や「成果」とこれを生み出すプロセスは矛盾関係にはないということだ。
ありがちなことだが、何気ない行動が「成功要因」となったりしているものだ。この「何気ない行動」をしっかり分析し、自分の不変的な行動パターンとすることが重要だ。組織的な行動にとってはなおさらである。「何となくうまくいった」で済ませていては、組織的な「成功体験」を積んでいくことにはならない。
日常業務におけるチョッとした成功も「良かった!の一言で済ませていると、成功も自分の成長にならず、組織の強さにもならない。そこで、自分の仕事の全体プロセスを振り返りながら、「あの場面で採った、この行動が功を奏した」、「あのタイミングでの提案が成約に結び付いて」など、一つ一つの検証を組織的に行っていくことが重要だ。
この組織的な検証行動が業務全体の流れを、より合理的で効率的に捉えて展開していく基本ともなる。同時に自分自身の仕事の理解を深めていくことにつながる。仕事上で失敗経験や大きなミスを犯した場合には、同じ誤りを二度と切り返さないため、真剣に原因の究明を行なっていかなければならない。仕事上で失敗することが問題なのではない。問題となるのは同じ失敗を繰り返してしまうことだ。
仕事上で失敗を犯してしまい組織上での上席者から叱責を受けた時には反省をするのは当たり前だ。誰でも自らの責任に帰す失敗に対して叱責を受けると「反省しています」とこたえる。しかし、同じ失敗を犯してしまえば、先の反省はなんの意味もないということだ。こんなことを繰り返していては、周囲から疎んじられていくことになる。
個人が失敗を反省するということは、その原因を自ら究明し、同じ失敗の結果を生み出してしまうような行動を戒めることだ。一方でこの反省は組織的にも行う必要がある。組織体がこうした行動姿勢を貫いていれば、組織を構成する個人が失敗を犯すことも苦痛にはならない。仕事ではあくまでも「成果」を重視し、「結果」にこだわる姿勢を堅持しなければならない。決して「結果」や「成果」とそこに至る「プロセス」を二項対立させてはならない。
結果にこだわる姿勢がなければ、常に自らの仕事は「出たところ勝負」になり、仕事で得た成果の継続性を担保することなどできない。個々人に問われるのは仕事上での成功、失敗を常に内省し、自らの力量範囲でプロセス全体をコントロールする行動を堅持することである。こうした行動が自らの自立と自律につながり、「仕事の醍醐味」や「仕事の面白さ」の実感に直結することになる。仕事に対する醍醐味や面白さに対する実感を得られない働き方とは、単なる苦役に過ぎない。
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