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週刊Neue Fahne

2020年02月17日号

新人を「困った君」にしてはならない−4− 部下の仕事の進め方を観察する

現場マネジメントにとって頭が痛いのは、同じミスを繰り返す部下の存在だ。しかも自分のミスに対して、反省している姿勢が見られなければ余計にイライラするものである。「失敗から学ぶ」ことを教わってきた今日の管理職層にとっては、失敗から学ぶことなく同種の失敗を繰り返す部下の存在は「頭が痛い」を通り越して「怒り」が湧いてくるはずだ。
  直截にいえば部下に対して仕事上で「失敗から自主的に学ぶ」ことを期待してはならない。しかし、これは部下の側に仕事に対して「学ぶ姿勢」が欠如しているわけではない。むしろ「学び方がわからない」と理解しなければならない。仕事に対する学びは、仕事の進め方の基本と方針を正確に理解がなされていなければ成立しない。

  同じミスを繰り返す部下に対して現場マネジメントが行うべきことは、部下の「自主的学び」に期待するのではなく、先ずは部下の行動をしっかりと観察して、部下がミスをする原因がどこにあるのかを見極めることが先決である。同時に単純に部下のミスを指摘する以前に部下の仕事の進め方について本人からしっかりと聴取してみる必要がある。
 仕事の進め方、手順に間違いがあれば、そのチェックを繰り返し行うことで、当然ながら正しい手順を身につけることができる。仮に手順が間違っていなければ、ちょっとしたアドバイスで乗り切ることができるはずだ。ミスの内容をよく見れば、今後どこをどうアドバイスすれば良いのかも分かるはずである。

 部下の同じミスの繰り返しには、ミスそれ自体を指摘して叱責することよりも部下に対する教育・指導のポイントが不明確であると捉えることが重要である。この点を抜きにして部下が「失敗から自主的に何かを学んでくれる」という期待は、上司の側の叶わぬ期待であるだけではなく怠慢でもある。上司の「わかったか」という問いかけに対して、部下はいつの時代にも「はい、わかりました」という返事をするものである。
  上司はこの「はい、わかりました」という答えを鵜呑みにしてはならない。同じミスを繰り返すのは、仕事の進め方をわかっていないことから発生する。与えられた仕事のどこが難しかったのか、どこで混乱したのかなどを本人と検討し、今後の仕事の進め方について考えさせなければ、ミスは減らないどころか職場には「仕事のできない困った君」が増えるばかりである。

  仕事の進め方について部下に考えさせるために部下のミスに寛大である必要はない。もちろん瑣末な事柄を重箱の隅を突くように指摘することでもない。同時に目に見えない本人の価値観や判断力や現状での能力を指摘することでもない。この種の指摘は何の意味もない。
  ミスの指摘はあくまでも発生している事実だけに絞ったものでなければならない。まして感情的な指摘は「百害あって一利なし」である。発生した事実に基づいた指摘をその都度明確に行い、そのミスが仕事の進め方に由来しているのであれば、仕事の進め方の根本から見直させ、自分の行っている仕事が会社の将来にどのように関わっているのかを認識させていくことをしなければならない。

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